専門図書館287号(2018年1月)特集:図書館における外国人に対するサービス(詳細)
特集「図書館における外国人に対するサービス」にあたり【p1】 |
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東京都立中央図書館における 外国人利用者へのサービス充実の取組 【p2-8】 進藤 つばら・平安名 道江・鈴木 紫乃・朝倉 和代(東京都立中央図書館) |
本稿では、オリンピック・パラリンピック競技大会の東京での開催決定などを背景に、東京都立中央図書館で推進している「外国人利用者へのサービス充実」の取組について紹介する。 当館の外国語資料収集の歴史は古いが、従来の収集方針に加え、近年は、在日外国人の就業や生活に役立つ資料やオリンピック・パラリンピック関連資料等の収集に努めている。 来館利用者に向けた取組としては、平成28年度に、新規の常設展示の一つとして「Books on Japan(日本に関する外国語資料)」コーナーを設置するとともに、館内外の案内掲示物・サインの多言語化・見直し、4 か国語対応のデジタルサイネージの導入を行った。 また、総合案内・相談カウンターで活用している「指差しマニュアル」や英語による図書館利用ガイダンス「Library Tour in English」、Web上のコンテンツ「江戸・東京デジタルミュージアム」の英語版ページについても紹介する。 |
新宿区立大久保図書館の多文化サービスの取り組みについて【p9-14】米田 雅朗(新宿区立大久保図書館) |
新宿区立大久保図書館の周辺は、住民の約4 割が外国の方である。かつては「コリアンタウン」といわれていたが、近年は様々な国籍の人たちが居住するようになり、様相が変わってきている。 そして、その外国の方々も日本の人と同じように図書館に来館され、利用をしている。このような状況を鑑みて、大久保図書館は「多文化サービス」に力を入れて取り組んでいる。その活動は、区の機関、学校、NPOなど様々な団体との協力・連携によって成り立っている。この取り組み内容を、おもに外国語資料の収集、外国語の絵本の読み聞かせ、日本語支援、生活情報の発信といった項目に分けて、具体的な事例を挙げて述べていく。そこから更に、今後の課題と方向性について考察をしていく。 |
在住外国人への図書館サービスの現状 -「多文化サービス実態調査2015」をもとに-【p15-20】平田 泰子(前 日本図書館協会多文化サービス委員会委員長) |
現代社会は、多様な文化的背景を持つ人々が移民・難民・短期労働・留学など様々な事情や目的で、国境を超えて移動し、地域社会の主要言語や共通の文化とは異なる背景を持つ住民が混在して共に生活するグローバル社会である。日本においても在住外国人は2016年末231万人を突破した。「多文化サービス」は、必要な情報や資料の入手が困難なマイノリティに母語で資料・情報を提供するとともに、相互に違いを認め合い多様性を尊重する社会を実現するためのサービスである。しかし「多文化サービス」が日本の図書館界で広く認識されるようになったのは1986年 のIFLA東京大会以降でその歴史は30年ほどである。日本図書館協会多文化サービス委員会は2015年に3 回目の実態調査を実施した。その結果、一部前進した部分もあるが、これまでと同じ課題が残されている状況が明らかになった。調査結果から日本における多文化サービスの現状と今後の進め方を検証した。 |
日本外国特派員協会付属アレン・レイモンド図書館【p21-26】 ジェフリー・チューダー(公益社団法人日本外国特派員協会) |
2018年に創設70周年を迎える日本外国特派員協会付属アレン・レイモンド図書館は、日本を訪れる外国特派員の取材・記事の編集が円滑に行われるように尽力をしてきた。同館は会員制の図書館であるが、2014年より非会員でも参加できるブック・ブレイクの活動も行っている。その組織・運営、施設、活動について紹介をする。 |
外国人来訪者等の避難誘導のあり方【p27-32】小林 恭一(東京理科大学総合研究院 教授) |
様々な国から来た人たちがいる施設で火災や地震が発生した時、どうやって避難誘導すれば効果的だろうか。 消防庁の検討会では、「やさしい日本語」とフリップボードなどを用いた身振り手振りが意外に有効で、その他の災害やテロ等の際にも応用しやすいとしている。デジタルサイネージ、多言語翻訳メガホン、スマホなど、最新機器を使った避難誘導方法も紹介する。 |
増える外国人利用者の安全と図書館 ~災害時の利用者の安全を「やさしい日本語」で担保する~【p33-39】佐藤 和之(弘前大学) |
大きな災害が起きたとき、さまざまな国から来日した外国人住民に、命を守る情報を「やさしい日本語」で伝えることについて論じた。国や地方行政、コミュニティFMなどで導入を進める。 日本に住んで1年以上なら、漢字圏か非漢字圏かに関わらず、命を守る情報を外国人住民の80%以上が理解できるようにしている。日本語だけど読んでみよう、聞いてみようと思わせる表現規則と情報の配列規則に基づく。増える外国人利用者の安全を、限られた図書館の職員で「やさしい日本語」なら守れるかについての課題を提起した。 |
地域経済分析システム(RESAS:リーサス)と地方創生【p40-44】楠田 真之 |
名古屋市蓬左文庫【p45-49】大矢 耕誌 |
図書館サービスの利用拡大を目指して【p50-51】國廣 千帆 |
専門図書館の役割としごと【p52-53】竹田 理恵子 |
はじめての電子ジャーナル管理【p53-54】大前 富美 |
平成29年度 地方議会図書室等職員研修会 「議会図書室改革の最前線」【p55-58】江場 龍也 |
平成29年度 イブニングセミナー(関東地区)参加報告 『DOI(デジタルオブジェクト識別子)』【p59-60】平松 智子 |
韓国専門図書館協議会との交流事業: 第54回韓国図書館大会(KLA General Conference)への参加【p61-64】栗田 淳子 |
韓国専門図書館協議会との交流事業: 第54回韓国図書館大会での発表について【p65-66】南山 泰之 |
私立図書館の現状分析-私立図書館実態アンケート調査から-【p67-73】藤田 節子 |
事務局だより【p74】事務局 |
各種セミナー報告【p75】事務局 |