専門図書館301・302合併号(2020年10月)特集:新型コロナウイルス感染症対策:図書館の記録(詳細)

特集「新型コロナウイルス感染症対策:図書館の記録」にあたり【p1】
【総論】新型コロナウイルス感染症対策【p2-6】
神谷 元(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
人類が初めて接する新型コロナウイルスには、現在のところ有効なワクチンや治療薬が存在しない。一方で感染する条件やリスクを下げる方法は明らかになってきている。これまでのクラスター対策から図書館という環境において、どのような場面で感染のリスクが高いか、また一般的に有効とされる予防策をどのように図書館で応用していくか、新型コロナウイルス感染症対策について考察した。
コロナ禍における国立国会図書館の利用者サービス― 7 月末までのサービスの休止・再開の状況と各種取組―【p7-11】
旗手  優(国立国会図書館 利用者サービス部 科学技術・経済課)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により全国各地の図書館がサービスを休止・縮小し、国立国会図書館も例外ではなかった。本稿では、国立国会図書館が新型コロナ感染症対策を講じ始めた1月下旬から7月末までの来館サービス及び遠隔複写サービスの状況等について記述する。併せて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて国立国会図書館が行った情報発信等の取組についても取り上げる。
新型コロナウイルス感染症対策:専門図書館の記録 開発途上国・地域に関する学術研究の知的インフラとして【p12-15】
澤田 裕子(アジア経済研究所 学術情報センター 図書館情報課 情報サービス班)
千葉県幕張副都心に所在する日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所図書館は、開発途上地域の経済、政治、社会科学分野の専門図書館である。新型コロナウイルス感染症の流行から、当館が休館するまでの動き、休館中の図書館サービス、 6 月以降の開館再開、遠隔サービスの実施状況、そして新しい情報発信の取り組みについて述べる。
アドミュージアム東京 ライブラリーにおける新型コロナウイルス感染症対策【p16-19】
吉野 由麗(公益財団法人 吉田秀雄記念事業財団 アドミュージアム東京)
アドミュージアム東京では、新型コロナウイルス感染症への対策として、2020年 2 月下旬から臨時休館と全職員の基本在宅勤務の措置をとり、約 4 カ月後の 7 月初めに開館再開した。本稿ではその経緯について、ライブラリーの取り組みを中心に紹介する。また再開後の所感を踏まえ、今後長期に及ぶであろう状況に必要な、当館の利用者サービスを展望する。
新型コロナウイルス感染症流行下における江戸東京博物館図書室の記録【p20-23】
楯石 もも子(東京都江戸東京博物館)
新型コロナウイルスの感染拡大により様々な活動が制限され、多くの文化施設が休館を余儀なくされた。新たな生活様式へと移行する過渡期の中で博物館や図書館の在り方、評価方法にも変化が求められている。本稿では、コロナ禍における専門図書館、博物館図書室のひとつの記録として、江戸東京博物館図書室での休館から再開後までの経過と感染予防対策を報告する。
大倉精神文化研究所附属図書館のコロナ禍対策 【p24-27】
平井 誠二(大倉精神文化研究所附属図書館 図書館長)
大倉精神文化研究所附属図書館は、指定文化財の公共施設の中にあることから、コロナ禍において、建物全体の運営方針に従わざるを得ず、飛沫予防や換気等の対策にも制限を受けている。心について学ぶための専門図書館として、利用制限の緩和を進め、最終的にはコロナ禍の中での生き方や心の持ち様等について、利用者に提言していける図書館を目指している。
大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)情報ライブラリーにおける
新型コロナウィルス感染症への対応記録 【p28-31】
久野 美鶴(ドーンセンター情報ライブラリー・スタッフ)
新型コロナウィルスの感染拡大による、緊急事態宣言や外出自粛要請の影響をうけ、施設の臨時閉館、イベント等の中止、サービスの制限や運営体制の変更など、さまざまな面で対応を実施してきた。その内容を記録するとともに、施設運営への影響を考える。
緊急事態宣言下での大宅壮一文庫の活動 新型コロナウイルス感染症とテレワークへの対応 【p32-35】
鴨志田 浩(公益財団法人 大宅壮一文庫 事務局)
雑誌専門の図書館である公益財団法人大宅壮一文庫は、雑誌記事の資料提供と独自運営の雑誌記事索引データベースサービスの利用収入、そして寄付を活動の原資としている。新型コロナウイルス感染症の拡大とそれによる緊急事態宣言と休業要請に対し、どのように対応したかどんな影響があったか、本稿ではその活動記録を報告する。
航空図書館 コロナウイルスとの試行錯誤の半年間~そしてこれから 【p36-39】
廣嶋 京子(一般財団法人日本航空協会)
2 月末に政府から出された「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を受けて航空図書館が行った「新型コロナウイルス感染拡大防止」に向けた対応と取り組みについての記録を紹介する。港区内の図書館間での情報共有から、様々な気づきや情報をもらい、取り組みに生かすことが出来た。また今後においても、ウィズコロナ時代において求められる変化、サービスの充実を常に考え実行し、ピンチをチャンスに変えていきたい。
三康図書館における新型コロナウイルス感染拡大防止の対応 議論が生まれる図書館運営への転換 【p40-43】
新屋 朝貴(公益財団法人三康文化研究所附属三康図書館)
三康図書館における新型コロナウイルス感染拡大防止の対応を時系列に沿ってまとめる。緊急事態宣言解除後、開館に向けてどのような対応策を講じるべきか、これまで三康図書館が経験してこなかった「職員全員で議論しながら取り組む」ために、工夫しながら取り組んできた。また、三康図書館が位置する東京都港区内の他機関とメーリングリストやweb会議を活用しながら情報共有を行ってきたことについても紹介する。
資料提供を止めない-市政専門図書館における新型コロナへの対応- 【p44-47】
田村 靖広(公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所 市政専門図書館)
市政専門図書館では、2020年 3 月30日から 6 月16日まで、来館型サービスである入館、閲覧、館内複写、貸出サービスは休止しました。非来館型サービスである蔵書検索(OPAC)、電話やメールによるレファレンス、複写物郵送サービスは継続しました。全面休館とするのではなく、可能な限り図書館サービスを提供しました。 6 月17日からは事前予約制で入館を受け入れしましたが、新型コロナ感染以前に比べると利用者数は減少しており、今後はオンラインサービスを拡充するなどの課題があります。
経済図書館BIZCOLIのウィズコロナ対応 【p48-51】
平田 エマ(公益財団法人九州経済調査協会 事業開発部次長)
福岡市にある経済図書館BIZCOLIは、会員制のライブラリーとして、「知の集積・交流・創造」拠点というコンセプトをもとに、これまでに集めてきた20万冊の専門書・資料に加え、年間60回を超えるセミナー、そして活きた情報とネットワーキングを特徴として、2012年より運営して参りました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、 4 月~ 5 月半ばにかけて休館を余儀なくされましたが、休館中も機関誌や緊急レポートなどをリリースしたほか、WEBINARで広く情報発信に努めました。コロナ禍における経済図書館BIZCOLIの運営について、時系列で振り返りました。
BICライブラリのコロナ禍記録 【p52-55】
宇賀田 織部(一般財団法人機械振興協会 経済研究所 BICライブラリ)
新型コロナウイルス感染症の流行により私たちを取り巻く環境は大きく様変わりした。BICライブラリは緊急事態宣言中の臨時休館の後、現在は短縮開館を続けている。これまでのサービスは縮小しているが、オンラインでの新規事業にも取り組み始め、変化への第 1 歩を踏み出しているところだ。ここでは2020(令和 2 )年 2 月から 8 月までのコロナ禍における当館の記録を残した。
COVID-19禍による閉鎖から再開、そしてその後:ドイツの日本専門図書館の記録 【p56-59】
蓮沼 龍子(独立行政法人国際交流基金ケルン日本文化会館 図書館主任司書)
1 月末にドイツで初めての感染患者が見つかったCOVID-19は国内に急激に広まり、3 月中旬には日本の出先機関である当文化会館も他の文化施設と同じく閉鎖された。その後、ホームオフィスを経て、文化施設に対する自粛規制緩和を前に 4 月下旬からは慌ただしく再開準備に取り掛かった。6 月 2 日に図書館を再開するまでの経過を記録し、再開後の状況と今後の方向性を述べた。
ロックダウンを経験したオーストラリア日系図書館の記録:情報発信例を中心に 【p60-63】
矢田 浩文(国際交流基金シドニー日本文化センター図書館 司書)
2020年 3 月から 8 月に至るまでの当館の取り組みを報告する。この期間中にロックダウンが発令され当館も約 2 か月半の間、休館を余儀なくされた。報告では以下 3 つのトピックを取り扱う。1 )図書館運営変更に伴う当館情報発信の手順。2 )NSW州で規制が緩和され、サービス再開準備にあたり、NSW州立図書館とNSW政府が行った図書館向け情報発信の役割。 3 )8 月11日に行った情報セッションウェビナーと事後アンケート結果。ウェビナーは従来の来館者とは異なる参加者が集まり、郵送貸出など遠隔地を対象としたサービス促進の機会になりえる事が分かった。
パリ日本文化会館図書館 confinementからdéconfinementまで: 4 か月間の記録 【p64-67】
杉田 千里(パリ日本文化会館図書館)
2020年 3 月17日正午からフランス全土のロックダウンが始まり、自由のない生活が始まった。誰にでも開かれた日本文化専門図書館が、突然の閉館から来館者を限定して一部再開するまでの記録し、これからの図書館の在り方を模索する。
家でも、どこでも、つながる図書館 ~コロナ禍における城西大学水田記念図書館の取り組み~ 【p68-71】
小川 佳菜子(城西大学水田記念図書館)
宮内 博子(城西大学水田記念図書館・株式会社紀伊國屋書店)
甲田 さと美(城西大学水田記念図書館・日本アスペクトコア株式会社)
本稿では、新型コロナウイルス感染症対応のための取り組みについて、勤務体制・オンラインサービス・学生アドバイザー、それぞれの担当者より紹介する。日々変化する状況下で、どのように図書館サービスを維持してきたかについて記す。
Covid-19対応~地方一文系私大図書館からの事例共有~ 【p72-75】
山下 大輔(西南学院大学図書館)
新型コロナウイルス感染症対応について、西南学院大学図書館での事例を紹介する。オンライン会議システム等を活用した情報共有、運営基盤の整備方法と考え方について、また、図書館職員、教員、学生によるウェブセミナーの展開、学生アルバイトを活用したオンライン及びメールでの学修相談について、その実例と反響、課題について、言及する。
東京工業大学附属図書館におけるコロナ禍への対応 郵送による資料貸出サービスを中心に 【p76-79】
小宮山 史(東京工業大学研究推進部情報図書館課)
東京工業大学附属図書館では、新型コロナウイルス感染症の影響下にあって、大学の対応方針に添いながらいかに学生や研究者の研究・学修活動を支援できるかを考え、新規サービスの導入や、従来提供してきた電子資料の拡充等に努めてきた。本稿では、新規サービスである郵送による資料の貸出サービスを中心に、その取り組みを紹介する。
品川区立大井図書館の感染防止策 ~マスクの下は笑顔です~ 【p80-83】
永見 弘美(品川区立大井図書館)
いつも開いているはずの公共図書館が使えなくなってしまった。その間図書館では何をしていたのか?目まぐるしく状況が変わり対応に追われた時期は過ぎたが、未だ通常開館には戻れない。公共図書館の感染対策の一例を時系列で追いながら、利用者の要望や制限のある中での取組みを振り返った。
感染症対策における小さな図書館の配本サービスの実践 斜里町立図書館「おうちで読書」臨時配本サービス 【p84-87】
宮島 舞子(斜里町立図書館奉仕係)
新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的として、2020年 4 月から約 1 か月の臨時休館となった斜里町立図書館では、休館中でも利用者にサービスの提供を行うため、貸出資料を自宅へ届ける臨時配本サービスを実施した。本稿では、人口 1 万人規模の町立図書館における新型コロナウイルス感染症対策として行った宅配サービスの実践の記録をまとめる。
コロナ禍における企業図書館の対応 アンケート 【p88-91】
対象:専門図書館協議会会員機関を中心とした企業図書館56機関にメールで実施 回答機関数21機関
回答率38% 回答期間:2020年 7 月~ 8 月 機関名は非公開のためA ~ Uとした。
saveMLAKとCOVID-19:しなやかに動きつづけるプロジェクト 【p92-95】
森 いづみ・子安 伸枝 (saveMLAK COVID-19 libdataチーム)
名古屋盲人情報文化センター【p96-99】
亀ヶ谷 昌代 (龍谷大学 法務研修生)
思いつくままに【p100-101】
安 嶌   潔 (専門図書館協議会 理事・事務局長)
人類と病 国際政治から見る感染症と健康格差【p102-103】
三原 岳(株式会社ニッセイ基礎研究所)
東日本大震災 あの時の図書館員たち【p103-104】
山田 美幸(熊本学園大学)
「Zoomで繋がる専門図書館」に参加して 【p105-108】
磯   勝 己 (個人会員)
2020年度通常総会の概要【p109-111】
事務局
事務局だより【p112-113】
事務局
各種セミナー報告【p114-115】
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