249号特集 全国研究集会「変わる図書館/変わらない図書館~変化の時代の専門図書館を問う」

□ 249号特集 全国研究集会
「変わる図書館/変わらない図書館~変化の時代の専門図書館を問う」

平成23年度総会の概要について 【p.1-4】

平成23年度全国研究集会の概要について 【p.5-13】

オープニング講演:私と紀伊國屋書店と図書館 【 p.14-18 】
高井昌史(株式会社紀伊國屋書店 代表取締役社長)

私は、昭和46年に紀伊國屋書店に入社して以来、そのほとんどの時間を、営業総本部で図書館に関わる仕事に携わってきました。紀伊國屋書店に受け継がれてきたチャレンジ精神と、多くの図書館関係者を含むお客様に支えられ、貴重な経験をすることができました。

書店業界も図書館界を取り巻く環境は、電子化、国際化の中で、大きく変貌しようとしています。いま、心を新たに、新しい課題に取り組んでいきたいと思っています。

基調講演:東京大学経済学部資料室の軌跡と山一證券資料の受入・整理 【 p.19-23 】

伊藤正直(東京大学大学院経済学研究科教授・東京大学経済学図書館長)

山一證券資料の受入からその後の出版、公開に至るおよそ13年間の軌跡と、その過程で生起した様々な課題について明らかにし、あわせて、この業務を担ってきた東京大学経済学部資料室の役割と機能、資料室開室までの経緯についても報告する。

第1分科会:企業図書館のファシリティーと利用者サービス
1.図書館システムのリニューアルと利用拡大のための取組み 【 p.24-27 】

大森圭子(富士通株式会社 知的財産権本部 R&D情報統括部)

2010年に実施した図書館システムのリニューアルについて、取組み姿勢を中心に「変えたこと」「変えなかったこと」をご紹介するとともに、社内での存在意義を向上させ、社員に利用される図書館になるための具体的な取組み内容についてご紹介いたします。

第1分科会:企業図書館のファシリティーと利用者サービス
2.図書館リニューアル・人が集まる空間づくり 【 p.28-32 】

小沢香穂里(NTT横須賀研究開発センタ図書館)

資料電子化による蔵書数減少や様々な時代背景を受け、図書館という空間をどう変化させるか、外部図書館の見学、各什器メーカーの動向を調査し、2010年夏に図書館リニューアルを行った。その取組みについて紹介する

第2分科会:セルフアーカイビングとオープンアクセス
1.アーカイビングを活用した図書館サービス展開の可能性 【 p.33-36 】

前田和子(独立行政法人 国際協力機構図書館)

日本の政府開発援助という事業が要求する情報ニーズと、これに対応してJICA図書館が行ってきたアーカイブとそのデータ化の過程を紹介する。また、さらに新たな事業ニーズによって生じるサービス展開について考え方を述べ、とくに図書館が行う情報制作とその更新がもたらす効果について考える。

第2分科会:セルフアーカイビングとオープンアクセス
2.オープンアクセスとアジア経済研究所学術研究リポジトリ(ARRIDE) 【 p.37-42 】

澤田裕子(独立行政法人 日本貿易振興機構 アジア経済研究所図書館)

情報環境と利用者ニーズの変化を受け、機関リポジトリの構築とオープンアクセス資源の活用など、研究成果を効果的に発信し、学術情報に効率的にアクセスするための日本貿易振興機構アジア経済研究所図書館の取り組みを紹介する。

第3分科会:「レファ協」活用術
1.レファンレンスによる広告図書館の発展に向けて 【 p.43-47 】

粟屋久子(公益財団法人 吉田秀雄記念事業財団 アド・ミュージアム東京広告図書館)

当館のレファレンスはノートに記録することから始まった。レファ協参加によるデータベース化で様々な方面から反響をいただいた。今後は他部門と連携をとり情報発信基地として新たな発展の一歩を踏み出してゆきたい。

第3分科会:「レファ協」活用術
2.一石三鳥の効果―情報共有から情報提供へ 【 p.48-52 】

加藤由美子(愛知学院大学図書館情報センター LCO株式会社)

愛知学院大学図書館情報センターでは、国立国会図書館レファレンス協同データベース事業(以下レファ協)に参加した2008年10月以来、閲覧の現場を中心に活用している。

レファ協参加の経緯、データ登録までの流れ、登録データ活用の現状とその効果について、具体的な取り組みを紹介する。

第3分科会:「レファ協」活用術
3.レファレンス協同データベース―概要と活用法 【 p.53-56 】

佐藤久美子(国立国会図書館関西館)

レファレンス協同データベースは、図書館等のレファレンスに関するデータを蓄積し、インターネットを通じて提供することによって、レファレンスサービスや一般利用者の調査研究活動を支援することを目的とした事業である。検索機能、登録機能の他、参加館を支援するための機能を備えている。うまく活用することでレファレンスサービスのパワーアップや図書館の存在感アップをはかることができるデータベースである。

第4分科会:著作権と専門図書館
1.最近の著作権政策の動向について 【 p.57-62 】

山中弘美(文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室長)

平成21年の著作権法改正に関して、図書館団体が策定したガイドラインを紹介するとともに、「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」及び「第11期文化審議会著作権分科会」の検討状況について説明する。

第4分科会:著作権と専門図書館
2.近代デジタルライブラリーの構築と著作権処理 【 p.63-66 】

岡本常将(国立国会図書館)

国立国会図書館では、明治期以降戦前期に刊行された図書のデジタル化及び著作権処理を平成12年度より開始し、近代デジタルライブラリーで提供を行ってきた。今回は著作権処理に焦点を当て、その取り組みについて紹介する。

第4分科会:著作権と専門図書館
3.電子書籍でなにを目指すのか―公有テキストを社会に積み上げた、青空文庫の15年 【 p.67-71 】

富田倫生(青空文庫)

1997年に電子書籍図書館として出発した青空文庫は、開設5年目にして、提供ファイルの中心に据えていたエキスパンドブックを捨て、テキストアーカイブへの転換を試みた。その決断によって、目指したものは何だったのか。成否の鍵は、電子版の「白い本」が握っていた。

第5分科会:専門図書館経営の新機軸
1.ウェブと情報技術をつかって資料と読者・著者を結びつける
―物質・材料研究機構における事例から 【 p.72-76 】

高久雅生(独立行政法人 物質・材料研究機構 科学情報室)

物質・材料研究機構において開発、展開してきた新しいサービス、研究者総覧SAMURAI、機関リポジトリNIMS eSciDoc、図書館システムNext-L Enjuの3つの狙いと現状について述べる。

第5分科会:専門図書館経営の新機軸
2.ヒト・モノ・カネの不足を補う逆転の発想―千代田図書館の新しい試み 【 p.77-79 】

新谷迪子(千代田区立千代田図書館 館長)

2007年春に指定管理者制度を採用し、リニューアルオープンした千代田区立千代田図書館の「5つの機能コンセプト」は、如何に作り上げられてきたのか。

「5つの機能コンセプト」は、図書館が立地する街の特徴を詳細によみ、連携をあらゆる機関と行い、お互いが元気になれる関係を作り上げていこうとする原動力である。

これがヒト・モノ・カネの不足を補って、さらに、新しい公共図書館のありかたを提示しようとしている、千代田図書館の運営の基本的な「手法」である。

第5分科会:専門図書館経営の新機軸
3.あらゆる場所に本棚を 【 p.80-85 】

幅允孝(BACH)

本が売れないといった声が多く聞かれるなか、本を差し出す立場から様々なアプローチを取って本と人の出会いを作りだすバッハの仕事を、実例を通じて紹介した。異業種の小売りやサービス業の中に本を売るコーナーを作る仕事について、スルガ銀行、TSUTAYA TOKYO ROPPONGI、Tokyo’s Tokyo(トーキョーズトーキョー)の事例を取り上げた。プライベートライブラリーを作る仕事については、千里リハビリテーション病院の事例を取り上げた。目の前にある一冊を面白く見せる心構えと工夫について説明した。

第6分科会:電子出版の展開と相貌
1.大学図書館発、電子書籍への挑戦―慶應義塾大学における電子学術書利用実験の報告 【 p.86-88 】

入江伸(慶應義塾大学メディアセンター本部)

慶應義塾大学メディアセンターでは、2年間の計画で大学図書館における利用実験を、学術出版社と協力して行っている。この実験は、最終的には教育用の日本語の電子書籍のニーズ、ビジネスの検証を目的としている。

第6分科会:電子出版の展開と相貌
2.インディペンデント・エディターの電子出版事始め 【 p.89 】

仲俣暁生(フリー編集者、「マガジン航」編集人)

第6分科会:電子出版の展開と相貌
3.研究・学術分野に向けた丸善の電子書籍の取組み 【 p.90-93 】

吉野知義(丸善株式会社 事業企画室デジタル化推進グループ)

丸善株式会社は、丸善CHIホールディングスのグループ内で大学、企業、医療機関、専門機関などの学術・研究機関を主な顧客としている。機関や研究者個人を対象にした学術図書の電子書籍サービスに向けて、提供するコンテンツ、利便性の高い機能、購入・契約の方法などについて、それらの考え方や取組みおよび実際のサービスを紹介する。

平成23年度全国研究集会に参加して 【 p.93-103 】

第1分科会を中心に/澤村容子(日本生命保険相互会社 附属文研図書館)
第2分科会を中心に/大庭千代子(財団法人石川文化事業財団 お茶の水図書館)
第3分科会を中心に/門倉百合子(公益財団法人 渋沢栄一記念財団 実業史研究情報センター)
第4分科会を中心に/土屋君江(電源開発株式会社)
第5分科会を中心に/山崎三枝(財団法人 福岡アジア都市研究所 都市政策資料室)
第6分科会を中心に/土橋竜子(関西電力株式会社 図書室)

事務局だより【p.105-107】