250号特集 メディアとしての新聞
□ 250号特集 メディアとしての新聞
特集「メディアとしての新聞」にあたり 【p.1】
アナログとデジタルの狭間で~新聞ジャーナリズムの現在
【 p.2-8】
碓井広義(上智大学文学部新聞学科教授)
「新聞の危機」が喧伝されて久しい。確かに最近の新聞に関する論評のほとんどが危機を前面に押し出しており、そこには消滅さえ“自明のこと”であるかのような空気がある。しかし新聞は本当になくなるのだろうか。いや、消滅していいものだろうか。 現在の新聞が抱える課題は、次の2点に集約される。①一般紙の記事に対する信頼感が落ちていること、②ネット時代を紙メディアとしてどう生きるかである。信頼感を損なうことにつながる問題が2つある。まず記者クラブの問題。次に事件報道において社会で高まっている「人権意識」に現場が追いついていない問題である。かつての「松本サリン事件」にみられた報道被害の問題や、今年3月の「東日本大震災」初期報道における新聞の役割なども検証しながら、ネット時代の新聞メディアのあり方を探っていく。
「第2の創刊」朝日新聞デジタルの構成と機能
【 p.9-15 】
樋口太(朝日新聞社 コンテンツ事業センター長)
朝日新聞社は2011年5月18日、新しい形の電子新聞「朝日新聞デジタル」のサービスをスタートさせた。
「若者を中心とする新聞離れ」が指摘される中、パソコンに加え、急速に普及しているスマートフォン・タブレット型端末に向け、紙とは違う形、さらには、紙を超える形で「新聞」を作り、多くのユーザーにお届けしようという狙いだ。
既存のニュースサイトは1本1本の細切れの速報ニュースを伝える媒体だ。これに対し、「朝日新聞デジタル」は速報だけでなく、紙の新聞同様「解説」「オピニオン」「コラム」「連載記事」など、出来事の意味合いを読み解くための様々な材料も届ける「パッケージとしての新聞」の電子版である。
紙の新聞の良さを再現しつつ、デジタルの特性を活かした「紙の新聞+α」のコンテンツ、「カスタマイズ」や「検索」といった機能も搭載することで、ユーザーの満足度を高め、報道・ジャーナリズムの新たな可能性を模索している。
本稿では、その詳細を報告する。
利用者の変化に合わせた新聞記事サービスへの取り組み
【 p.16-22 】
出口信吾(日本経済新聞デジタルメディア テレコン事業本部)
インターネットを活用した新聞記事のサービスとして、日経テレコン21と日本経済新聞電子版の取り組みを紹介します。日経テレコン21は日経以外の新聞や各種雑誌も収録した記事検索や国内外の企業情報を調べられる企業検索ができるデータベースが特徴で、様々なビジネスシーンに向けて提供しています。また、日本経済新聞電子版は日本経済新聞朝刊と夕刊がインターネットで読めるだけでなく、さらにインターネットの特性を活かした付加価値をつけて提供しています。いずれのサービスも利用者のワークスタイル/ライフスタイルの変化に合わせた進化に取り組んでいます。
利用と保存の観点からみた新聞媒体のメリット・デメリット:
アジア経済研究所図書館の経験から 【 p.23-30 】
村井友子(日本貿易振興機構アジア経済研究所図書館)
日本貿易振興機構アジア経済研究所図書館における新聞の利用と保存の経験から、異なる新聞媒体のメリットとデメリットについて考察する。
同図書館で利用されている紙媒体新聞、新聞のWEBサイト、商用データベース、マイクロフィルムを紹介したあと、速報性、検索機能、アーカイビング機能、一覧性、網羅性、保存機能等において、各媒体が持つメリットとデメリットを検証し、今後の新聞提供の方向性を模索する。
談話室 第25回
医療報道の読み解き方を考える:メディアドクター 【 p.31-34 】
渡邊清高(国立がん研究センターがん対策情報センター)
ごぞんじですか?
原子炉設置(変更)許可申請書 【 p.35-42 】
池田貴儀(独立行政法人日本原子力研究開発機構)
米澤稔(独立行政法人日本原子力研究開発機構)
専門図書館を見る
新聞ライブラリー 【 p.43-47 】
本田裕子(富士通株式会社)
私の仕事、わたしの一日 第3回
職人の博物館・図書館 【 p.48-49 】
栗原洋子(名古屋市工業研究所産業技術図書館)
資料紹介
刑務所図書館の人びと:ハーバードを出て司書になった男の日記
刑務所図書館:受刑者の更生と社会復帰のために 【 p.50-51 】
山口昭夫(国連NGO アジア刑政財団)
知の広場:図書館と自由 【 p.51-52 】
堀渡(国分寺市立図書館)
平成23年度地方議会図書室等職員セミナーの概要 【p.53-55】
運営委員会 地方議会図書室小委員会
事務局だより 【 p.56-58 】