252号特集 科学技術系ライブラリーを知る

□ 252号特集 科学技術系ライブラリーを知る

特集「科学技術系ライブラリーを知る」にあたり 【p.1】

国立国会図書館の科学技術関係資料とレファレンスのための情報源
【 p.2-9】

徳原直子・賀本理美(国立国会図書館利用者サービス部科学技術・経済課)、
岩見祥男(国立国会図書館関西館文献提供課)

国立国会図書館は、長年、科学技術関係資料の収集に努めてきた。本稿では、その所蔵資料の概要を紹介するとともに、主なコレクションである、テクニカルリポート、欧文会議録、規格、博士論文について、それぞれの資料群の特徴と、それらを調べるのに有用なウェブサイトやオンラインデータベースを紹介する。また、科学技術分野のレファレンスに欠かせないウェブ上のパスファインダー「リサーチ・ナビ」の主要コンテンツである「調べ方案内」についても紹介する。ここで紹介するのは、東京本館科学技術・経済情報室に開架している資料を中心にまとめた「基本ツール」で、昨年度から力を入れて整備してきたコンテンツでもある。

研究所図書館―”明日を創る材料研究”に資する図書館を目指して 
【 p.10-18 】

谷藤幹子(独立行政法人 物質・材料研究機構 科学情報室)

科学技術系各分野の専門図書館として、物質・材料研究機構(NIMS)における基本的なレファレンスツールと、分野特有の資料やコレクション、MatNaviを含む国内外の主たる分野データベース、関連ウェブサイトについて紹介すると共に、次世代図書館システムの構築、機関リポジトリNIMS eSciDocから研究者総覧SAMURAI、研究ライブラリーの展開、オープンアクセスジャーナル出版の取り組みを紹介する。

科学技術系図書館の現状と課題
―放射線医学総合研究所における取り組み―【 p.19-25 】

石田敦郎・長谷川佳子((独)放射線医学総合研究所 研究基盤センター 情報基盤部 科学情報課)

独立行政法人放射線医学総合研究所(以下「放医研」)の研究・開発分野の中心である放射線科学、放射線医学の分野は、高度に専門化した分野である一方で、学際的で関連分野が幅広く、かつ基礎研究から応用研究まで広く展開している。図書室にも、自然科学全般の幅広い分野の資料の収集、提供が求められる。蔵書は海外の学術雑誌やテクニカル・レポート類が中心であり、特別コレクションには、IAEA(国際原子力機関)の刊行物や米国を中心とした放射線関係委員会等のレポート類がある。
2011(平成23)年に発生した原発事故以来、放射線の人体への影響に関する市民の関心が高まり、放医研に対しても情報発信に対するニーズがこれまで以上に高くなった。放医研ではこれまでにも刊行物やホームページ、データベース等で情報発信を行ってきたが、今後図書室が外部からの情報提供ニーズに対して貢献していくためには、スタッフの意識改革とIT系専門スタッフとの連携が重要であると考える。

プラズマ・核融合研究の学術情報センターとして
―核融合科学研究所図書室― 【 p.26-33 】

井口春和(自然科学研究機構核融合科学研究所 図書・出版委員長)

核融合科学研究所は、プラズマ・核融合研究の学術的体系化を目指す大学共同利用の中核研究機関として、研究・教育の両面において大学と密接な連携のもとに設立・運営されてきました。その図書室は、およそ半世紀前に始まった日本のプラズマ・核融合研究の初期に設立された名古屋大学プラズマ研究所にルーツを持ち、新しい研究分野の将来を見据えて充実した図書室を備えなければならないという先達の理想のもとに拡充され、今日に引き継がれています。現在は、プラズマ・核融合研究の専門図書館として、単なる図書館機能に留まらず、研究所内外の各種データベースとの連携を通して、当該研究分野の情報センターとしての役割を果たすべく、様々なサービスを行っています。その利用は、研究者に限らず広く一般にも公開し、研究への理解促進にも努めています。ここでは、そうした専門図書館の施設、機能、活動等について紹介します。

独立行政法人 防災科学技術研究所 自然災害情報室
―災害資料を活かす― 【 p.34-41 】

堀田弥生(独立行政法人 防災科学技術研究所 自然災害情報室)

1963年に設立された独立行政法人防災科学技術研究所は、自然災害を防ぐための防災科学技術の研究を行っている。独立行政法人化後は、地域防災力向上を目指す社会科学的な研究にも取り組んでいる。自然災害情報室は、その中で防災科学技術に関する内外の情報及び資料の収集・整理・保管・提供を担う部署で、災害・防災に関する専門図書館的な役割と、災害資料についての分析・解析機能を有している。本稿では自然災害情報室の概要、特徴的なコレクションやその収集過程、図書館以外の業務、資料の解析結果を生かして生成するコンテンツ、レファレンスに役立つ情報、防災科学技術研究所の研究部が提供する主なデータベースや情報サービス、最後に東日本大震災後への取り組みを紹介する。

談話室 第27回
未来の読書が体験できる「e読書ラボ」 【 p.42-45 】

阿辺川武(国立情報学研究所連想情報学研究開発センター)

ごぞんじですか?
科学技術総合リンクセンター J-GLOBAL 【 p.46-49 】

國岡崇生((独)科学技術振興機構 イノベーション推進本部)

専門図書館を見る
千里リハビリテーション病院 【 p.50-56 】
佐藤正恵(放送大学教養学部)
大石弥栄(日本子ども家庭総合研究所 情報企画室)

私の仕事、わたしの一日 第5回
図書館から発信する『クール』な世界 【 p.57-59 】
落合功(広島修道大学学術交流センター長)

資料紹介
ハンセン病図書館―歴史遺産を後世に 【 p.60-61 】
鈴木志穂(千葉医療センター附属千葉看護学校図書室)

クラウドが変える世界:企業経営と社会システムの新潮流 【 p.61-62 】
水野貴明(株式会社ディー・エヌ・エー)

日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか 【 p.63-64 】
時実象一(愛知大学文学部)

第13回図書館総合展フォーラム 【 p.65-76 】

事務局だより 【 p.77-80 】