254号特集 専門図書館の国際化

□ 254号特集 専門図書館の国際化

特集「専門図書館の国際化」にあたり 【p.1】

専門図書館にみる国際化
【 p.2-7】

栗田淳子(独立行政法人国際交流基金情報センターライブラリー)

国際化社会の今日、人や情報が容易に国境を越え行き交うようになった。次世代へ向け、図書館も国際化への対応について積極的に係わることが求められている。図書館の国際化とはどのような活動があるのか、館種による図書館の国際交流・国際化のかたちについて紹介する。そして専門図書館協議会(専図協)の国際交流の歴史について、設立から今日までを振り返る。さらに海外との連携やグローバルな視点での図書館運営を行うため取り組むべきことを考察、提案する。

海外情報の収集と海外拠点への情報提供【 p.8-13 】

菊地哲也

海外情報を収集する際、国内での情報収集と大きく異なる部分は少ない。それでも文化や言語といった情報を構成する要素の違いは無視できるものでは無く、それらを上手くコントロールして業務を達成しなければならない。それは、異文化からの情報収集に限らず、国内からの情報発信に際しても言える。また、情報ツールであるデータベース等を提供する、海外のベンダーとの付き合い方も、海外情報と係わる際には重要である。彼らのサービスの提供の方法が国内のそれとは、異なる事が多いからである。そうした国内外の間に存在する違いを越えて、情報収集を行うチームを円滑に運営するには、今後も更なる「国際化」が要求されるようになるだろう。特に内外の社会・経済情勢は、そういった方向に加速している以上、海外情報を収集・国内情報を発信する機能も国際化の流れに沿ったものになる必要がある。

グローバル企業における地域情報センターの協業と貢献
【 p.14-18 】

藤井信栄、中村淳子(ファイザー株式会社 メディカル・インフォメーショングループ)

グローバル製薬企業であるファイザー株式会社のメディカル・インフォメーショングループでは、自社の医療用医薬品の適正使用を推進するため、グローバルのネットワークから得られる医療情報や専門知識を駆使して、日々情報提供を行っている。
メディカル・インフォメーショングループの一員である日本の情報センターでは、グローバルリソースの最大限の活用とともに、グローバルの情報センターチームとのナレッジ共有や、メディカル・インフォメーショングループスタッフのスキルアップに積極的に貢献している。また、グローバルの同僚とのミュニケーションや相互理解の促進、グローバルへの貢献を促すためのユニークな取り組みを多数行っている。
本稿では、地域情報センターのグローバルへの貢献について述べるとともに、異文化の同僚との良好な関係構築、及び、グローバル企業としての意識改革のための活動を紹介する。

海外における日本研究図書館の交流とその動向について
【 p.19-25 】

江上敏哲(国際日本文化研究センター図書館)

図書館の活動には横のつながり・連携・協力が不可欠である。海外の日本図書館・ライブラリアンが連携・協力のために築いているコミュニティの例に、北米のNorth American Coordinating Council on Japanese Library Resources(北米日本研究資料調整協議会 : NCC)やEuropean Association of Japanese Resource Specialists(日本資料専門家欧州協会 : EAJRS)がある。それぞれ年1回の年次集会が開催されており、日本などからも参加が多く、活発な交流が行なわれている。連携・協力・交流のあり方にはさまざまなものがあり、日本からも積極的な参加が望まれる。

日本の役立つ情報を発信する図書館 【 p.26-30 】

浜口美由紀(独立行政法人国際交流基金関西国際センター図書館)

国際交流基金関西国際センターで実施している日本語研修には、外交官や日本研究者や大学で日本語を専攻する大学生など多様な日本語学習者が参加している。国際交流基金関西国際センター図書館は、図書館利用者である研修参加者に対応した情報提供を行っている。国際交流基金関西国際センターのWebsiteを活用して、研修中や帰国後に役に立つサイトを構築している。今回はその現状報告を行う。

SLA-真のグローバル組織 【 p.31-36 】

Brent Mai(2012 SLA President)

専門図書館関係者の最大規模の団体は、米国専門図書館協会(SLA)である。9,000名以上の情報専門家が会員となっている同協会は、北米のみならず、世界中に会員がいる国際団体である。ここでは本年よりプレジデントを務めるBrent Mai氏に、SLAの国際協力活動の概要につて執筆をいただいた。

談話室 第29回
知的書評合戦ビブリオバトル 【 p.37-40 】

谷口忠大(立命館大学情報理工学部)

ごぞんじですか?
効率的に目的の情報を探し、広く利用するためには:
バイオサイエンスデータベースセンターが提供するサービス 【 p.41-47 】

髙祖歩美(独立行政法人科学技術振興機構バイオサイエンスデータベースセンター)

専門図書館を見る
国際教養大学図書館 【 p.48-52 】
西岡千恵子(国際教養大学大学院 発信力実践領域専攻)

私の仕事、わたしの一日 第7回
醍醐味とジレンマ―農林業分野の情報提供に携わって―
【 p.53-54 】
並木美佐子(社団法人国際農林業協働協会業務グループ調査役・司書)

資料紹介
ドイツ図書館入門:過去と未来への入り口 【 p.55-56 】
吉次基宣(東京ドイツ文化センター図書館)

情報行動:システム志向から利用者志向へ 【 p.56-57 】
上保秀夫(筑波大学図書館情報メディア系助教)

世界のビジネス・アーカイブズ 【 p.57-59 】
谷合佳代子(大阪産業労働資料館(エル・ライブラリー))

東アラブの女性に関する文献解題
―シリア、ヨルダン、レバノンの女性労働を中心に― 【 p.59-60 】
辻上奈美江(高知県立大学)

各地区協議会の平成23年度活動および平成24年度事業計画(概要) 【 p.61-69 】

事務局だより 【 p.70-74 】