256号特集 学協会の学術情報発信・流通のこれから

特集「学協会の学術情報発信・流通のこれから」にあたり 【p.1】

学協会誌を取り巻く環境の変化
【 p.2-5】

会員サービス委員会機関誌グループ

SPARC Japanのオープンアクセス支援活動と図書館 【 p.6-13 】

高橋菜奈子(国立情報学研究所)
国立情報学研究所の推進するSPARC Japanは、日本の学協会等が刊行する学術雑誌の電子ジャーナルを支援・強化することによって、海外に流出する日本の優れた研究成果を日本の研究者自身の手に取り戻し、海外への研究成果発信の一層の普及を推進する事業として開始された。平成15年度からの3か年に、事業参画選定誌の募集を行い、ジャーナルの編集工程の電子化支援やビジネス・モデルの構築支援を行った。平成18年度からは、ビジネス・モデルの構築、国際連携の推進、アドボカシー活動を行い、英文パートナー誌45誌の電子ジャーナル化が完了した。平成22年度からの第3期においては、アドボカシー活動と国際連携活動に注力し、学協会だけではなく大学図書館・研究者にも軸足を置いて、オープンアクセスを支援する活動をすすめてきた。図書館においては、オープンアクセス誌の動きに注目し、今後、どのような役割を果たすかを検討することが重要になるであろう。

SCPJプロジェクトの現在と展望-セルフアーカイブによるオープンアクセス推進のために-【 p.14-18 】

内島秀樹(筑波大学附属図書館情報管理課長)
真中孝行(筑波大学附属図書館情報管理課専門職員(リポジトリ担当))
SCPJプロジェクトは,ブタペストオープンアクセスイニシャチブで定義されたオープンアクセス実現の2つの道の1つであるセルフアーカイブについて,学協会のポリシーをデータベース化する事業である。現在,2,545の学協会が登録され,そのうち,ポストプリントないしはプレプリントのセルフアーカイブを許諾している学協会は827である。全体として学協会への悉皆調査は公開データ数の向上に貢献しているが,グレーのポリシー無し或いは検討中の組織が半数以上を占めており、これらの学協会への働きかけが大きな課題となっている。また,SCPJプロジェクトは国立情報学研究所の委託事業として実施されているが,平成24年度をもって同委託事業が終了するため,来年度以降のプロジェクトの在り方についての検討が必須となっている。

ITを活用して私たちが医療に貢献できること―学会研究会jp― 【 p.19-24 】

岡村勇介(株式会社エムプラス)
「学会研究会jp」は、国内に存在する学会・研究会等の医療研究団体や、病院、及び医局のワーキンググループなどに対して、その特性に特化した機能を携え、可能な限り自動化し使いやすく、そして何より貴重な症例の研究や討論についての情報等を安全に蓄積でき、随時公開し互いに共有できるサービスを展開しています。
今、日本の医療分野では、医師不足・医療の地域格差への解決策、 医療現場における業務効率化、加速度的に増加する院内のデータの保管及び有事の際の安全対策についてなど、医療従事者を取り巻く環境は幅広いITの活用が求められています。
ITを活用して私たちが医療に貢献できること、それは大いなる可能性に満ちています。
本稿では、医療分野におけるITに関わる課題と、その改善に向けた学会研究会jpの主な取り組みを報告します。

学会誌「保健物理」の編集について 【 p.25-28 】

山口恭弘(日本原子力研究開発機構、「保健物理」編集委員長)
日本保健物理学会は、放射線や放射性物質を利用する上で放射線から人や環境を護るための学問である放射線防護学を専門領域とする学術団体です。この学会が年4回発行する学術専門誌が「保健物理」で、学会員に研究成果の公表の場を提供することを主たる目的としています。放射線の利用は、医療、工業、農業等の様々な分野で拡大しており、また、東電福島原発事故の影響で放射線に対する国民の不安感が高まっており、放射線防護学の重要性が益々認識されて来ています。本稿では、学会の最も重要な情報発信手段である学会誌「保健物理」の編集に関する最近の話題を紹介します。

談話室 第30回図書館を創る 街を創る 未来を創るNPO法人情報ステーション 【 p.29-33 】

岡直樹(NPO法人情報ステーション)

ごぞんじですか?司書養成制度の動向と新しい「図書館に関する科目」 【 p.34-39 】

糸賀雅児(慶応義塾大学文学部)

私の仕事、わたしの一日 第8回
放てば満つ 【 p.40-41 】

菊川真紀子(NPO法人静岡県男女共同参画センター交流会議 事業課図書室担当)

資料紹介
「図書館学の五法則」をめぐる188の視点 【 p.42-43 】

内野安彦(松本大学松商短期大学部 非常勤講師)

いま求められる図書館員:
京都大学教育学部図書室の35年 【 p.43-44 】

筒井利子(慶応義塾大学三田メディアセンター)

SLA 2012 Annual Conference & INFO-EXPO 参加報告
【 p.45-49 】

佐藤京子(Kokos Consulting)

平成24年度地方議会図書室等職員セミナーの概要 【 p.50-52 】

運営委員会地方議会図書室小委員会

事務局だより 【 p.53-56 】