257号特集 著作権法と専門図書館

特集「著作権法と専門図書館」にあたり 【p.1】

著作権を考える―著作権の歴史、海賊版について、最近の話題
【 p.2-7】

時実象一(愛知大学/専門図書館協議会著作権委員会委員長)
著作権制度は、英国では書店主組合がその権益を守るために作られ、フランスでは、著者が出版者から独占権を獲得するために作られた。著作者の権利は次第に認められるようになったが、これが国際的な枠組みとなったのは、19世紀末に締結されたベルヌ条約である。これに関連する他の国際的枠組みも紹介した。また、日本の著作権法にある権利制限規定の概略とフェアユース、最近話題となっている出版における著作隣接権について解説した。
歴史的に見ると、日本もかっては海賊版を利用していた。中国の学術雑誌の海賊版は、学術雑誌市場を開拓するという意味もあった。最近ネットの世界では、オープンソースが広く使われるようになった。また学術雑誌ではオープンアクセスが話題となっている。このように、イノベーションのためには何でもアクセス制限すればいいとは限らない。
なお、図書館における著作権運用は現在、安定している。しかし、ネットにおいては制限が強まっており、さらにTPPに関連して、著作権の枠組みが変わるのではないかという懸念がある。

公文書と著作権:2012年著作権法改正の内容を中心に 【 p.8-15 】

南亮一(国立国会図書館)
2012年著作権法改正では、国立公文書館等における特定歴史公文書等の保存及び利用に係る著作権の制限規定を新設し、公文書管理法に基づく歴史公文書の利用の円滑化が図られることとなった。本稿では、公文書全般と著作権との関係を概観した上で、公文書管理法に基づく公文書の管理・活用の流れと著作権との関係について説明する。

時代に見合った図書館サービスの充実とフェア・ユースの法理【 p.16-23 】

山本順一(桃山学院大学経営学部・経営学研究科)
ニューヨーク連邦地裁は、2012年10月、HathiTrustが進める大規模書籍デジタル化事業をフェア・ユースに該当するとの判決を下した。アメリカの連邦著作権法においては、一般的なフェア・ユースを定めた107条のほかに図書館と公文書館の業務に関する複製を認めた108条がある。HathiTrust事件判決が、108条を超えて、デジタル・ネットワーク社会に見合った図書館資料のデジタル保存・オンライン利用にフェア・ユース法理の適用可能性を確認した意義は大きい。本稿は、フェア・ユース法理の構造と図書館業務における複製を定めた連邦著作権法108条について検討し、それを踏まえて日本の著作権法における図書館に関する諸規定と関係判例を見直そうとしたものである。

私立図書館と著作権 【 p.24-28 】

田村靖広(公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所 市政専門図書館)
私立図書館は著作権法第31条の著作物の複製ができる図書館に該当するのか、現場には混乱や躊躇が見受けられる。私立図書館は図書館法第2条において規定されており、著作物の複製ができる図書館に該当するのだが、私立図書館であることを公的に認定する機関が存在しないので、確信が持てないのである。私立図書館は、自らが図書館法第2条の私立図書館であることを社会的に認知されるように工夫しなければならない。その上で、著作権法に則り、複写サービスを提供できる環境を作り上げる必要がある。
本稿では、まず、図書館法や主要な図書館統計などが私立図書館をどう捉えているかを探り、次に、私立図書館において複写サービスを実施する際に行うべき環境整備を考え、最後に、複写サービスや各種サービスと著作権の関係について述べるものである。

著作権情報センターの活動 【 p.29-34 】

公益社団法人著作権情報センター
著作権情報センター(CRIC)は、著作権制度の普及活動および著作権制度に関する調査研究等を通じて、著作権・著作隣接権(以下「著作権等」)の適切な保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的として様々な活動を行っている公益社団法人です。
近年のデジタル・ネットワーク社会の到来により、すべての市民が、他人が創作した著作物を容易に利活用できるようになり、また自身が創作した著作物を発信できるようになったことから、著作権制度についての知識・情報は誰でも知っておくべき社会のルールの一つとして欠かせないものになってきており、CRICの存在意義や社会的責任も高まってきているものと自覚しております。
そこで、本稿では、CRICが行っている様々な活動の概要、およびそうした活動の一つとして著作権等に関する専門図書館として運営している「資料室」について、ご案内します。

談話室 第31回
「サーチャーの会」~Searchers had supported to find valuable information more than anyone else, and forever ~ 【 p.35-39 】

原田智子(「サーチャーの会」会長(鶴見大学文学部ドキュメンテーション学科教授))

ごぞんじですか?ジャパンリンクセンター(通称:JaLC(ジャルク))~国際標準の識別子DOIを通じて、学術情報流通の輪に入ろう!~ 【 p.40-46 】

余頃祐介(ジャパンリンクセンター事務局(科学技術振興機構 知識基盤情報部 リンクセンター担当))

専門図書館を見る
財団法人東洋文庫 【 p.47-52 】

渡邉智彦(公益財団法人日本交通公社旅の図書館)

私の仕事、わたしの一日 第9回
議会図書室・修行中 【 p.53-54 】

久保泰子(石川県議会図書室)

資料紹介
現場で使える美術著作権ガイド 【 p.55-56 】

池谷慎一郎(日本美術家連盟)

なんでコンテンツにカネを払うのさ?:デジタル時代のぼくらの著作権入門 【 p.56-57 】

北澤京子(日経BP社)

「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」告示について【 p.58-64 】

運営委員会私立図書館小委員会

事務局だより 【 p.65-70 】