260号特集 舞台芸術と専門図書館


特集「舞台芸術と専門図書館」にあたり 【p.1】

舞台芸術専門図書館としての早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
【 p.2-8】

竹本 幹夫(早稲田大学文学学術院教授)
演劇を通じての世界文化への貢献という、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館の創立の理念
と、その理念が現在どのような形で継承されているかについて、草創時のエピソードを交えつつ、
演劇博物館の過去20年ほどの歩みを中心に紹介する。とりわけこの20年間は、演劇博物館発展の
時期に当たっている。大学付置の博物館相当施設ながら、すぐれて個性的な特色を備えていたこ
とが、その発展の拠り所であった。その個性の実質である収蔵資料の様々について紹介し、合わ
せて演劇博物館の運営のあり方、利用方法と、今後の課題にも言及する。またこの発展を支えた、
過去10年にわたる公的資金の内容と成果を分析し、文化発信にとり、このような支援がいかに大
切であるかについて述べる。最後に、書籍およびそれ以外の多様な資料類の閲覧サービス、博物
資料の通常・企画展示、研究事業、人材育成事業が一体化した演劇博物館の性格と、その専門図
書館としての意義について論じる。

神奈川県立青少年センター演劇資料室【 p.9-14 】

荒井 賢一(神奈川県立青少年センター演劇資料室)
演劇資料室は2005年7 月、横浜演劇研究所が半世紀以上に亘り蒐集した演劇図書、資料を基に
開設された。神奈川県立青少年センターが管理し、神奈川県演劇連盟と横浜演劇研究所が共同で
運営を引き受けている。演劇資料室の運営は二つの団体のメンバーをはじめボランティア・スタ
ッフの活動によって支えられている。
開架式書架で公開、利用者の住所を確認のうえ館外への貸出も行っている。破損し易い、紛失
する危険があるなどのデメリットがあるが利用者の利便を考えてこの方式で公開している。
利用者は神奈川県外からの利用も多い。
横浜演劇研究所は職業を持つメンバーが業余に活動するアマチュアの団体として成立し、「ア
マチュア演劇の研究」を重要なテーマとして進めてきたのでアマチュア演劇に係わる演劇図書、
雑誌、上演資料などが充実しており、このため中高校生の利用が多く、上演脚本選定の拠点とな
っている。

ピッコロシアター資料室 ~小さな資料室の歩み~【 p.15-21 】

古川 知可子(兵庫県立尼崎青少年創造劇場 業務部副課長/広報担当)
ピッコロシアターは、舞台芸術の人材や地域の文化リーダーを育てる学校(ピッコロ演劇学
校・舞台技術学校)と、専属のプロ劇団(兵庫県立ピッコロ劇団)を持つ、全国の公立文化施設の
中でもとてもユニークな劇場です。「建物」だけでなく、そこに「人」が居てこそ、「創造」は生
まれます。劇場の構想段階から多くの地元ユーザーの意見をすくい上げ、設計に反映させただけ
でなく、運営する人材にも演劇のプロを起用した当時の兵庫県の方針は、先進的だったと言える
でしょう。この精神を貫く運営によって、開館35年を迎える今日も、当シアターには多くの人が
集い、刺激し合い、学び合い、創造する日常があります。小さな「資料室」は、この「創造劇場」
を象徴する存在なのです。

伝統芸能情報館 【 p.22-28 】

独立行政法人日本芸術文化振興会調査養成部 資料サービス課
独立行政法人日本芸術文化振興会の運営する伝統芸能情報館は、伝統芸能を身近に感じていた
だくための施設として、平成15(2003)年に国立劇場に隣接して設置されました。1 階の情報展示
室では伝統芸能を分かりやすく紹介しており、2 階の図書閲覧室では伝統芸能に関する図書を閲
覧でき、3 階のレクチャー室では公開講座や公演記録観賞会を定期的に開催しています。伝統芸
能情報館の事業と収蔵資料の特徴などを紹介します。

野上記念法政大学能楽研究所の60年 【 p.29-35 】

宮本 圭造(法政大学能楽研究所教授)
野上記念法政大学能楽研究所は戦後まもない昭和27年、日本が世界に誇るべき文化の一つであ
る「能楽」を専門的に研究する機関として発足した。冒頭に冠せられた「野上記念」は、漱石門
下の英文学者で、『能の再生』などの著書で知られる元法政大学学長・野上豊一郎の名前にちな
んでいる。創設以来、能楽研究所は能楽に関する古今の文献資料の収集に積極的に取り組み、古
写本の価格が比較的安価であった時期的な幸運も重なって、設立当初から、能楽文献資料の我が
国有数の所蔵機関として出発する。以来、多くの篤志家から貴重な能楽資料の寄贈を受け、現在
では質量ともに世界一を誇る空前の能楽文献コレクションを所蔵するにいたっている。これらの
貴重な資料は広く研究者等に公開され、文字通り、国内外の研究者が集う能楽研究のセンターと
しての役割を担っているが、近年はこれら能楽資料の文献学的研究にとどまらず、能の演技の根
幹を探求する、新たな手法に基づく研究アプローチを試みるなど、能楽研究の地平を拓く取り組
みにも積極的に参画している。

ごぞんじですか? 第88回
JDreamⅢサービスの提供を開始しました 【 p.36-41 】

川原 綾(株式会社ジー・サーチ)

専門図書館を見る 第210回
立教大学池袋図書館 【 p.42-46 】

大久保 真弓((独)国際交流基金日本語国際センター図書館)

私の仕事、わたしの一日 第12回
「日本でただ一人」のわたしの仕事 【 p.47-48 】

磯 勝己(学校法人大和学園キャリエールホテル旅行専門学校情報ライブラリー)

コレクション紹介 第1回
『東京五拾区縮図』-東京における「行政区画」端緒の地図- 【 p.47-48 】

五十嵐 靖人(公益財団法人特別区協議会 事業部調査研究課)

資料紹介
図書館学基礎資料 【 p.52-53 】

奥出 麻里(医療法人社団誠馨会千葉メディカルセンター図書室)

ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム 【 p.75-76 】

今井 星香(慶應義塾大学理工学メディアセンター)

新しい時代の私立図書館を求めて【 p.55-57 】

運営委員会私立図書館小委員会

平成25年度通常総会および講演会の概要【 p.58-64 】

専図協一元化に関する各地区協議会の動向【 p.65-67 】

各地区協議会の平成24年度活動および平成25年度事業計画(概要)【 p.68-75 】

事務局だより 【 p.76-79 】