専門図書館269号(2015年1月)特集:ビジネスと図書館~企業家からビジネスパーソンまで(詳細)

特集「ビジネスと図書館~企業家からビジネスパーソンまで」にあたり【p.1】
公益財団法人三菱経済研究所付属 三菱史料館 【 p.2-7 】 坪根 明子 ((公財)三菱経済研究所付属三菱史料館)
 三菱史料館は1996年に開館した三菱グループのアーカイブズである。所蔵資料は、三菱創業より保存されていた旧三菱本社史料、三菱各社や岩崎家に保存されていた史料などの企業史料である。多くが一次史料であるため、閉架式にして目録データベース作成や史料保護を考えた装備・マイクロ化などに努めている。また、一般に向け閲覧・レファレンスサービスなどを行っており、主として研究者に利用されている。企業からの寄託史料も多いため、史料ごとに公開区分を設けるなど史料提供しやすい閲覧方式をとっている。利用に許諾の必要な史料は、利用者が直接検索できないため、サービスの質を高めるには司書が利用者の要求を的確に掴むことと所蔵史料をよく知ることが重要である。アーカイブズとして継続的な史料収集に努め、企業活動の記録を社会に活かす一助となるよう努めていきたい。
企業家たちの情熱と英知を伝える「大阪企業家ミュージアム」【 p.8-13 】 廣田 雅美 (大阪商工会議所 大阪企業家ミュージアム)
大阪商工会議所が2001年6月5日に開館したのが大阪企業家ミュージアムである。パナソニック創業者・松下幸之助、阪急阪神東宝グループ創業者・小林一三など、大阪で活躍した企業家を通して、先見性をもち果敢に挑戦する「企業家精神」を広く社会に発信する他に類を見ないユニークな施設である。ミュージアムのメイン事業である主展示では、「企業家たちのチャレンジとイノベーション」をテーマに、明治以降の企業家105人の足跡をパネルやめくり資料、ゆかりの品で展示し、大阪が育んだ旺盛な企業家精神を紹介。さらに年に数回特別展示を実施している。また、展示事業に加え、人材育成事業として、多彩な講座・セミナーの開催、小中高校、大学への出前授業なども実施し、広く「企業家精神」の周知・高揚に努めている。
 なお、大阪企業家ミュージアムは近代大阪の企業家関連資料を展示する施設として、2009年に「近代化産業遺産」(経済産業省)に認定された。
ビジネス支援の最前線~会員制ライブラリー「BIZCOLI」の取組み【 p14-18 】
岡本 洋幸 (公益財団法人九州経済調査協会 事業開発部)
BIZCOLIは、シンクタンクの公益財団法人九州経済調査協会が運営する会員制ビジネス図書館である。2012年4月、「九経調経済図書館」のコンセプトや機能、体制などを大幅に見直し、リニューアルオープンした。月間利用者数は1,000~1,200名とリニューアル前の約10倍で推移しており、調査研究機能と会員企業570社とのネットワークを活用してサービスを行っている。レファレンスサービスの向上、書籍の見せ方、利用者拡大のマーケティングなどまだまだ実験の途中であるが、本稿が皆様のお役に少しでも立てば幸いである。
ビジネス支援に取り組んだ10年を振り返って&新たな動き「エコノミックガーデニング」とは【 p.19-25 】 小林 隆志 (鳥取県立図書館)
鳥取県立図書館が、ビジネス支援サービスを始めたのは2004年。様々な環境の変化が有りながら、サービスが継続できたのは、社会の中にビジネス情報を求めている方が存在し、図書館に対する期待があることの証明だと思います。実際に起業される方や商品開発に成功する事例も生まれてきました。図書館も行政機関の一員として、地域や個人の課題解決に貢献することが求められています。本稿では、当館が行ってきたビジネス支援サービスを振り返り、“営業”や“連携”など、ポイントとなった事柄や考え方を紹介するとともに、2014年度から始まった“よろず支援拠点”との連携や新たに国内で広がりを見せ始めている地域経済活性化の手法「エコノミックガーデニング」の概要について紹介します。
起業家ライブラリアンの視点から考えるビジネス支援 【 p.26-31 】 福岡 南海子 (ビズライブラリー)
非正規の図書館員として9年働いた後に会員制図書館ビズライブラリーを2012年4月に開業した。当時の図書館に疑問を持って起業に至った経緯と公共図書館のビジネス支援サービスに感じたこと、現在、ビズライブラリーで行っているビジネス支援サービスの内容について述べる。図書館員と起業家を経験して感じた図書館のこと 、ビジネス支援のこと、今後の図書館員に望むことを書いている。ビジネス支援を行ううえで大切なことは、窓口の対応とビジネスに関心を持つことだと考え、そのことについても述べる。また、図書館の中だけでなく視野を広く持ち、客観的に図書館や自分を見ることで、今までとは違った視点を持ち、図書館についてさらに考えることができるのではないかと提言したい。なお、この文章は個人の経験を基に書いている。
ごぞんじですか? 第94回【p.32-36】 村橋 勝子
専門図書館を見る第216回【p.37-41】 竹田 理恵子 ((公財)紙の博物館図書室)
私の仕事、わたしの一日第18回【p.42-43】 金尾 京子 (日興アセットマネジメント株式会社 運用企画部)
コレクション紹介第6回【p.44-45】 新井 光秋 (農林水産政策研究所 企画広報室)
資料紹介【p.46-47】 原田 安啓 (近大姫路大学)
資料紹介【p.47-48】八木澤 ちひろ (京都大学医学図書館)
平成26年度 専図協イブニングセミナー(関東地区)報告 LibGuidesを活用したパスファインダー作り【 p.49-51 】
常川 真央 ((独)日本貿易振興機構 アジア経済研究所図書館)
平成26年度 専図協著作権セミナー(北海道地区)報告 ケーススタディで学ぶ著作権【 p.52-54 】
田中 肇 (公益社団法人 青年海外協力協会)
専門図書館員のための認定資格制度設立に向けて(4) :フォーラムでのPRと今後の進め方【 p.55-58 】
運営委員会認定資格検討小委員会
事務局だより 【 p.59-60】
各種セミナー報告 【 p61-62】