専門図書館270号(2015年3月)特集:思想・宗教と専門図書館(詳細)

特集「思想・宗教と専門図書館」にあたり【p.1】
理性と信念で動け
―夢見る人が実現した精神教育のセンター【 p.2-7 】公益財団法人大倉精神文化研究所附属図書館
 当館は、思想、哲学、宗教、歴史等の分野の図書を中心とする専門図書館である。創設者大倉邦彦は、まず集書方針を定め、各分野の専門家にリスト作成を依頼し収集に着手した。蔵書約10万冊の内、ヨーロッパで直接購入した哲学書をはじめとする貴重コレクションが23種4万冊を占めるなど、集書に特色がある。大倉は、一部の研究者が専門知識を得ることよりも、全ての人が知識を得ることと、その知識を実社会の中で実践することを重視した。そのため、図書館は1932年の開設以来広く一般に公開してきた。2013年には図書館情報管理システムとOPACを導入した。今後は、様々な活動を通して利用者との距離を一層縮めていきたいと考えている。
ベル・エポックの志
―成田山仏教図書館のそもそも― 【 p.8-13 】望皐 吟士(成田山仏教図書館)
 現在「成田山仏教図書館」としてあるこの図書館は、そもそも「成田図書館」という名称で、90年近く地方文化の向上を目指して活動してきた私立図書館であった。明治34年(1901)の開館であり、成田山新勝寺本堂に向かった右下の窪地に、かつては洋風レンガ建築の書庫を持って明治の御代の息吹を残す佇まいを誇っていたが、蔵書収蔵スペースにいよいよ不足しての1988年、白亜の建物に生まれ変わって再開館となった。それと同時に、成田市立図書館の新設により成田図書館の名称が譲渡され、成田山仏教図書館として今日に至るのである。知る人ぞ知る、日本における私立図書館の先駆けであった長い歴史によって、国立国会図書館にも蔵書しない書物や雑誌を多く含む、特異な図書館としてのそもそもを、とうとう一人だけになった成田図書館時代を知る私が綴るのも一興というものなのだろう。
イエズス会聖三木図書館
哲学・神学を中心としてキリスト教思想・文化の収集を目的とする。 【 p.14-18 】
宗 正孝(イエズス会聖三木図書館)
 聖三木図書館の由来と歴史的経緯を述べ、特に理念として日本の文化的土壌にキリスト教の思想・文化を紹介し、日本文化の根幹をなす東洋の思想と西洋文化の核心にあるキリスト教思想の間に対話を促すために寄与せんとするものであることを述べる。経営母体として最初は教会の一図書室として始まり、それが上智大学の施設として長い間保たれてきた。2007年12月3日に学校法人上智学院から隣接する岐部ホールの宗教法人カトリックイエズス会に管理運営が移された。上智大学のものだった折には教養課程の補助として資料も収集されたが、イエズス会に移管されてからは、資料も電子化され、特に宗教関連のものを優先的に収集するようになり、その意味で思想・宗教の専門図書館の色彩を帯びることとなった。それはイエズス会がその宗教活動の一環としてこの図書館を位置づけたことにもよる。
 キリスト教専門図書館としては単なる資料収集だけではなく、レファレンス・サービスすなわち利用者の資料検索を援助するサービスも重要であり、本図書館はこれらの点で、長年の蓄積により契約職員はもとよりアルバイトの学生も利用者の必要に答えるだけのレベルを保持している。2010年からは、年2回7月と12月に4ページの会員間の会報『ゆるし』を発行し、会員全員に発送し、特に東京を離れた地方の会員との交流を図っている。
世のお役にたつ金光図書館―金光教の信奉者が創立した図書館 【 p.19-24 】金光 英子(金光図書館)
 金光図書館は昭和18(1943)年に創立された。初代館長金光鑑太郎が、創立した。金光教内には、図書館を作る土壌もあったが、人も建物も無い中の大変な事業であった。
 金光教人であった初代館長の信仰実践が、図書館活動となり、その活動の中で、特殊な資料群が構築されていった。
 それは、開館当初に大量に来館した子どもたちに対応した児童奉仕、本を読めなくて困っている人にそれを届ける障害者奉仕のような奉仕により収集された児童書や点字本。具注暦や小野家資料、白川家資料といった金光教に縁があり、図書館活動のなかで収集されてきた特殊な資料群、さらには金光教の信奉者や縁故者のコレクションの神徳書院資料や青木茂文庫様々なものがある。
 この特殊資料は、一般に利用は困難で、一部の研究者や好事家の趣味の利用にとどまりがちである。それを、他施設や団体との連携をとって、地域の社会に貢献する図書館活動を進めていこうとしている。
ごぞんじですか? 第95回 【 p.25-28 】文化庁長官官房著作権課
専門図書館を見る 第217回 【 p.29-33 】小室 知子(大阪大学大学院 経済学研究科資料室)
私の仕事、わたしの一日 第19回 【 p.34-35 】古橋 実知子((公財)名古屋まちづくり公社 名古屋都市センター)
コレクション紹介 第7回 【 p.36-37 】伊藤 恭子(内藤記念くすり博物館附属図書館 )
資料紹介【 p38-39】中島 慶子(豊橋創造大学附属図書館)
資料紹介【 p.39-40】菊池 満史(北海道大学附属図書館)
教育プログラム(関東地区)
「専門図書館のPR戦略」に参加して【 p.41-44 】小野 恵子(㈱日立製作所 横浜研究所 図書室)
平成26年度専図協イブニングセミナー(関西地区)報告
本を通じて人とつながる「まちライブラリー」から学ぶ 【 p.45-46 】永石 弓子(三菱電機(株)先端技術総合研究所)
第16回図書館総合展フォーラム
自分の価値を高めませんか?~専門図書館員のスキルを認定する~ 【 p47-61 】研修委員会
「JSLA-SLAアジアン・チャプター若手育成賞2015」の創設【 p62-64 】事務局
事務局だより【 p.65 】
各種セミナー報告ほか【 p66-69 】