専門図書館277号(2016年5月)特集:東日本大震災から5年 図書館の復興と震災資料アーカイブの取組み(詳細)

特集「東日本大震災から5年 図書館の復興と震災資料アーカイブの取組み」にあたり【p1】
新図書館建設と復興への取り組み 【p2-7】
小野寺 篤(一関市立一関図書館長)
岩手県一関市では、新一関図書館建設に取り組んでいたが、東日本大震災はその基本設計段階で発生した。市直営で運営している8 図書館でもそれぞれ被害を受けたが、新図書館の建設では改めて災害への対応を求められ、設計を見直し、平成26(2014)年7 月に開館した。東日本大震災発生による8 図書館の被害や対応、新一関図書館の防災面での変更点、市内図書館が取り組んできた事業などを紹介する。また、一関市では福島県の東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染による被害も大きかったことから、市の沿岸被災地支援の状況と併せて放射能汚染への対応状況についても紹介する。
東日本大震災発災から5年を迎えた図書館―振り返りと今後の展望― 【p8-13】
柴崎 悦子(名取市図書館館長)
名取市図書館は、東日本大震災での地震により建物に甚大な被害を受け、以降使用することができなくなった。その後、国内外からの支援を受け、平成24年1月に「どんぐり子ども図書室」、平成25年1月に「どんぐり・アンみんなの図書室」を開設した。本稿では、震災から2年間の復旧期を振り返るとともに、現在の図書館の様子や平成30年度開館予定である新図書館建設計画について紹介する。また、震災記録を図書館で収集することへの思いについても述べている。
東日本大震災からの図書館の復旧・復興と宮城県図書館の取り組み【p14-19】
佐尾 博基(宮城県図書館(平成28年3 月時点))
宮城県内の公共図書館・公民館図書館等における東日本大震災による被災状況と被災に伴う休館・再開の状況を概観するとともに,宮城県図書館が実施してきた県域の公共図書館等の復旧・復興支援について紹介する。また、宮城県図書館では震災関連資料を収集し,「東日本大震災文庫」として公開しているほほか,震災デジタルアーカイブである「東日本大震災アーカイブ宮城」を県と県内市町村が連携・協力して構築しており,これらについて概要を述べる。
国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(ひなぎく)の歩み【p20-24】
諏訪 康子(国立国会図書館電子情報部(2016年3 月時点))
2013年3 月7 日に正式公開した国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(愛称:ひなぎく)は公開4 年目に入った。当初は21件だった連携アーカイブも45件まで増加し、東日本大震災に関するポータルサイトとして、成長を続けている。この間、自治体による震災アーカイブの構築、支援団体による記録誌の作成等、東日本大震災に関する記録は蓄積され、公開の窓口も広がっている。今後の「ひなぎく」に関する展望を通して、震災の記録を継承する上でのデジタルアーカイブの課題について考察する。
「2011年東日本大震災デジタルアーカイブ」発案の経緯と現在 【p25-31】
坂口 和子(ハーバード大学 ライシャワー日本研究所 現代日本研究資料センター 司書)
ハーバード大学ライシャワー日本研究所が主宰する「2011年東日本大震災デジタル・アーカイブ」は、東日本大震災に関する情報を一元的に集積して横断検索できるインターフェイスを提供しているが、コンテンツは日米両国の産・官・学・民からなる多くのプロジェクト・パートナーによって共同構築されたものである。外部公開用API の導入で実現した。「参加型アーカイブ」のJDAは、利用者がアーカイブ内のアイテムを各自の興味や価値観によってカスタマイズ化したり、新たな発見や解釈を付け加えてコンテンツの創造に貢献できるほか、主体的に接することによって、アーカイブを単なる記録媒体から「記憶の場」への変化を促すツールとしても機能する。
東日本大震災の災害資料とアーカイブス 【p32-37】
堀田 弥生(公益社団法人 全国市有物件災害共済会 防災専門図書館)
防災専門図書館は昭和31年の開設以来、防災・災害に関する資料を一貫して収集し、約15万冊の蔵書を有している。そのうち、東日本大震災・福島第一原子力発電所事故関連資料は図書・雑誌を合わせ約3,000冊に上る。それらを活用した企画展「東日本大震災から5 年 ~資料からみた復興への途上」を紹介する。また、筆者は長年災害資料の所在を把握することに努めており、東日本大震災のアーカイブスの現状についても併せて紹介する。
ディープ・ライブラリープロジェクトの紹介 【p38-41】
高野 一枝(近畿大学中央図書館事務部 収書・整理課)
民音音楽博物館音楽ライブラリー【p42-45】
井川 繭子(公益財団法人 松竹大谷図書館)
ヨーロッパの美しい図書館を巡って【p46-48】
岡安 渉子(富士通株式会社 法務・コンプライアンス・知的財産本部 R&D情報統括部)
渋沢栄一記念財団の挑戦【p49-50】
石井 里枝(國學院大學)
平成28年新春講演会・賀詞交歓会(関東地区)参加報告
「図書館セキュリティを考える
~個人情報・マイナンバー・サイバーセキュリティを論点に~」【p51-53】
土屋 君江(電源開発株式会社総務・法務室資料センター)
平成28年新春講演会・賀詞交歓会(関東地区)参加報告
「図書館セキュリティを考える
~個人情報・マイナンバー・サイバーセキュリティを論点に~」を中心に【p54-55】
野原 海明(アカデミック・リソース・ガイド株式会社)
平成27年度 北海道地区見学会報告
-資料保存施設の環境管理を考える-【p56-57】
櫻井 万里子(北海道博物館図書室)
専門図書館協議会平成28年新春講演会・交歓会へ参加して
講演会「紙資料の保存と修復」を中心に【p58-59】
鰐部 美香(名古屋大学理学図書室)
事務局だより【p60 】
事務局
各種セミナー報告【p61 】
事務局