専門図書館279号(2016年9月)特集:全国研究集会 再発見!専門図書館のインパクト(詳細)

専門図書館279号(2016年9月)特集:全国研究集会 再発見!専門図書館のインパクト(詳細)

記念講演「書物の価値とはなにか」【p12-15】
林 望(作家・国文学者)
書物(明治維新以前の古書)は、写本と刊本では価値のあり方が違う。又、刊本写本とも美術的・文学的・歴史的・書誌学的に、それぞれ価値判断が違う。必ずしも、珍しいから、高価だから価値が高いということではないのである。
第1分科会:専門図書館員の質保証を考える ―国内外の実状から得られた示唆をもとに―
図書館員の知識と技術を保証するには ―専門図書館員の質保証モデルを考える―【p16-20】
小田 光宏(青山学院大学教育人間科学部)
図書館員の知識・技術の質保証に関して、国際図書館連盟の教育・訓練部会における取り組みを中心に、国内外の関係する事象を紹介する。また、質保証の意義や特徴が明確になるよう、5W1Hの各視点に基づいて整理を行い、モデル形成に資する検討を行う。
第1分科会:専門図書館員の質保証を考える ―国内外の実状から得られた示唆をもとに―
米国の医学図書館員の質保証の状況【p21-26】
酒井 由紀子(慶應義塾大学文学部)
本講演では、専門職として高い危機意識を持つ米国における、医学図書館員の質保証のための取り組みについて紹介する。中心となるのは、米国医学図書館協会(Medical Library Association,MLA)のコンピテンシーリスト、教育機会、認定資格制度などから成る専門職能力開発プログラムである。
第2分科会:個人情報保護法と専門図書館~個人情報保護法再び
個人情報保護法改正と専門図書館【p27-32】
湯淺 墾道(情報セキュリティ大学院大学教授)
個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)が制定以来、約10年ぶりに大幅に改正された。専門図書館は民間事業者に所属するものが少なくないため、民間事業者に対して適用される個人情報保護法改正により大きな影響を受けることが予想され、本稿ではそれについて検討する。
第2分科会:個人情報保護法と専門図書館~個人情報保護法再び
専門図書館における個人情報保護事例【p33-37】
菊池 健司(株式会社日本能率協会総合研究所)
2003年に公布された個人情報保護法が2015年9月に大きく改正された。専門図書館はこの法とどう向き合っていくのかについて、参考情報を紹介しながら、その考え方をお伝えしていく。
第3分科会:ユーザーの視点でみる専門図書館
技術・研究開発部門ユーザーの情報収集活動からみた企業内専門図書館への提案【p38-43】
小泉 真理(筑波大学大学院図書館情報メディア研究科博士後期課程)
2015年7月から9月に、5業種8社の企業内専門図書館ユーザーに、質問紙によるアンケート調査を実施した。本研究集会では、その内、技術・研究開発部門に所属するユーザーの調査結果の一部を報告すると共に、調査結果より、今後企業内専門図書館が強化、充実すると良いと考えられる改善策を提案した。
第3分科会:ユーザーの視点でみる専門図書館
ユーザーを意識した書誌データベース【p44-48】
稲垣 理美(国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構)
日本原子力研究開発機構(JAEA)図書館が提供している研究開発成果検索・閲覧システム(JOPSS)のシステム改良を報告する。原子力機構の成果普及を目的として、データの品質及びアクセス数の向上などユーザーを意識した取り組みを行った。
第4分科会:専門図書館を取り巻く著作権の気になること
TPPを中心とする著作権の最近の動向【p49-53】
吉田 大輔(早稲田大学大学総合研究センター教授)
TPP協定締結のために必要な著作権法改正案に含まれる保護期間の延長などの制度改正の内容を背景等を含め解説するとともに、TPP関連事項以外の今後の著作権制度上の課題についてその検討状況を紹介する。
第4分科会:専門図書館を取り巻く著作権の気になること
失敗に学ぶデジタルアーカイブ:コンテンツに関する諸課題【p54-58】
岡本 明(NPO法人知的資源イニシアティブ)
デジタルアーカイブズにとって、コンテンツの作成と提供は重要な課題である。今回はコンテンツに関する①オープンサービスの利便性と危険性、②パーマリンクの永続性、③画像データの品質という3つの課題をピックアップし論じてみた。
第4分科会:専門図書館を取り巻く著作権の気になること
国立国会図書館の図書館向けデジタル化資料送信サービス【p59-63】
村上 浩介(国立国会図書館)
国立国会図書館(NDL)では平成26年1月から、著作権法第31条第3項に基づく図書館向けデジタル化資料送信サービス(図書館送信)を行っている。本稿では、その概要(対象資料、対象機関及び利用方法)と、平成28年6月現在の利用状況を紹介する。
第5分科会:学術情報流通の現状と将来
オープンアクセスの進展と新たな展開【p64-69】
倉田 敬子(慶應義塾大学文学部図書館・情報学専攻)
学術情報流通をその黎明期から現在までの変遷を歴史的に概観した上で、電子ジャーナルとオープンアクセスがもたらした意味を検討した。さらに新しい展開としての学術論文の新しい形式と研究データのオープン化が何を意味するのかについても検討を行った。
第5分科会:学術情報流通の現状と将来
オープンアクセスジャーナル【p70-74】
横井 慶子(東京大学附属図書館)
OAJのタイトル数、掲載論文数は年々増加している。特に近年の増加の背景には、OA出版社と商業出版社の積極的な参入がある。APCを徴収するOAJは増え、出版社からはAPCの様々な価格設定や割引が次々に提案されており、OAJを取り巻く環境はめまぐるしく変化し続けている。
第5分科会:学術情報流通の現状と将来
オープンアクセスと大学図書館【p75-79】
松林 麻実子(筑波大学図書館情報メディア系)
本稿では、大学図書館とオープンアクセスとの関係について、1 )国内機関リポジトリの発展、2 )APC支払いに関する英国実態調査、3 )オープンアクセスジャーナル刊行支援を行うピッツバーグ大学図書館、の3つの観点から概観した。
第6分科会:まちづくりと専門図書館
福岡の発展をささえる都市情報 ~ URC都市政策資料室38年間の歩みとこれから~【p80-85】
山﨑 三枝((公財)福岡アジア都市研究所 都市政策資料室 司書)
発展を続ける福岡市のシンクタンク(公財)福岡アジア都市研究所(URC)に併設する都市政策資料室のこれまでを振り返り、これからの新しい試みである交流スペースの開設及びナレッジコミュニティの開催を紹介する。
第6分科会:まちづくりと専門図書館
まちづくりライブラリーが地域に果たす役割 ―まちの歴史を引き継ぎ未来につなぐ―【p86-90】
永原 誠(公益財団法人名古屋まちづくり公社 名古屋都市センター企画課長)
「まちづくりライブラリー」は「名古屋都市センター」の3つの柱の一つである「情報収集・提供」事業の核施設として、地域のまちづくりに貢献することが求められており、それに対するライブラリーの取組み内容を報告します。
第6分科会:まちづくりと専門図書館
図書館から始まる情報の循環~特別区協議会のとりくみ~【p91-95】
中嶋 茂雄 梶原 静香(特別区協議会特別区自治情報・交流センター)
東京大都市地域の基礎的な自治体である特別区(東京23区)と密接に連携しながら、特別区協議会は自治に関する専門図書館の活動を行っている。「特別区自治情報・交流センター」において展開される、特別区紹介講座の企画や特別区紹介テキスト編集・発行など、センター資料を核とする教育・研究機能と連携した情報発信の事例を紹介する。