専門図書館285号(2017年9月)特集:全国研究集会 これからの専門図書館を”創る”(詳細)

記念講演「『<インターネット>の次に来るもの』から考えるメディアの未来」 【p10-14】
服部 桂(元朝日新聞記者、ジャーナリスト)
 デジタル社会の未来は不透明だが、ケヴィン・ケリーが最新刊で論じたように、個々の事象に目を奪われずに、その背景にあるデジタルテクノロジーが本来的に持っている力を理解し、科学的に全体を俯瞰することで見えてくるものがあり、新しい可能性を考えることができる。
第1分科会:学びと共創の空間としてのライブラリー
美的好奇心をあそぶ、みらいの学び場
   WACOAL STUDYHALL KYOTO(ワコールスタディホール京都)【p15-18】
杉本 豪之(株式会社ワコール 総合企画室 広報・宣伝部)
 スクール、ライブラリー・コワーキングスペース、ギャラリーにさまざまな美を収集。学びを通じて女性の好奇心を満たし、美しいかたち、美しい生き方、美しい関係をみらいに向けて紡いでいく。そんな場所を目指して、ワコールが培ってきたノウハウやネットワークをもとに、創業の地・京都より多様な美をお届けします。
第1分科会:学びと共創の空間としてのライブラリー
イノベーションを生み出す新たな場作りへのチャレンジ 【p19-24】
青山 昇一/朝倉 和子(パナソニック株式会社 全社CTO室 共通技術サポート部)
 パナソニックは従来とは異なる新たな研究開発のスタイルを実践する場として共創空間WonderLAB Osakaを2016年に開設した。本稿ではその中の図書施設であるライブラリについて設置までの経緯や具体的な取り組み内容を報告する。
第2分科会:私立図書館の今
私立図書館実態アンケート調査の概要と結果 【p25-29】
藤田 節子/田村 靖広
(川村学園女子大学教授・専門図書館協議会私立図書館小委員会委員長/(公財)後藤・安田記念東京都市研究所市政専門図書館・専門図書館協議会私立図書館小委員会委員)
 私立図書館小委員会は、わが国の私立図書館の実態を把握するため、2016年にアンケート調査を行い、137館から回答を得た。本稿は、このアンケート調査の経緯、調査方法ならびに調査結果の概要を報告したものである。
第2分科会:私立図書館の今
私立図書館の役割と新たな可能性を考える
   ~旅の図書館リニューアルへの挑戦 【p30-35】
大隅 一志(公益財団法人日本交通公社 旅の図書館 副館長)
 当館のリニューアルは、運営組織である財団本部との移転・一体化を機に、新たな図書館づくりに組織的に取り組んだものである。当館がリニューアルに至る背景や構想を具体化するまでの取り組みの概要について紹介する。
第3分科会:展示を考える
図書展示再考 ―東洋文庫の展示実例 【p36-41】
岡崎 礼奈/篠木 由喜(公益財団法人東洋文庫 普及展示部 学芸員)
 図書館における展示の捉え方、安全で美しい展示のための道具つくり、人と資料をつなぐ解説の作り方など、実務的なノウハウを具体的にご紹介します。また、東洋文庫で行っている来館者アンケートの内容と、その分析についてもご紹介します。
第4分科会:新たな時代のニーズに対応する著作権
著作権をめぐる動き 【p42-46】
澤田 将史(文化庁長官官房著作権課 著作権調査官)
 平成29年4月、文化審議会著作権分科会は、「文化審議会著作権分科会報告書」を取りまとめた。
この報告書の内容を踏まえて、今後著作権法改正法案が提出される予定である。本稿では、著作権分科会において検討を行った事項についての検討の経過及び報告書の内容を中心に紹介することにより、著作権法改正の方向性を含め、現在の著作権をめぐる動きを概観したい。
第4分科会:新たな時代のニーズに対応する著作権
オーファンワークス実証事業 ~現状と今後の展開~ 【p47-52】
稲田 孝哉(公益社団法人日本複製権センター 事務局長)
文化庁長官裁定制度の利用円滑化を目的に、オーファンワークス実証事業が実施された。
本稿ではその実施内容について詳細を報告する。
第5分科会:オープンアクセスとオープンサイエンス~専門図書館の役割とこれからの課題~
OAプラットフォームを乗りこなす
   ~アジア経済研究所の取り組みを通じて~ 【p53-57】
常川 真央/土佐美菜実(千葉大学 アカデミック・リンク・センター/(独)日本貿易振興機構 アジア経済研究所図書館)
 機関リポジトリのプラットフォームとしてJAIRO Cloudが注目されている。本稿では機関リポジトリの国内外の動向を概説し、JAIRO Cloudを取り上げ、導入事例として、「アジア経済研究所学術研究リポジトリARRIDE」(以下、ARRIDE)を紹介する。
第5分科会:オープンアクセスとオープンサイエンス~専門図書館の役割とこれからの課題~
紀要論文へCiNiiから本文リンクを張りたい:
国立教育政策研究所教育図書館のJAIRO Cloud活用の取り組み 【p58-62】
江草 由佳(国立教育政策研究所 研究企画開発部 教育研究情報推進室 総括研究官)
 紀要論文本文PDFに対してCiNiiからリンクを張る仕組みとして、および、調査・研究報告書のアーカイブの公開にJAIRO Cloudを活用した国立教育政策研究所教育図書館の活動について紹介する。
第5分科会:オープンアクセスとオープンサイエンス~専門図書館の役割とこれからの課題~
サイエンスデータを繋ぐ:国立極地研究所の取り組み 【p63-68】
南山 泰之(情報・システム研究機構 国立極地研究所 情報図書室)
 オープンサイエンスの思想は研究者間での意識共有を超えて、国際的な政策面に影響を及ぼしつつある。この潮流において、ライブラリアンにも一定の役割が期待されている。本報告では、国内外のオープンサイエンスの潮流を概観しつつ、国立極地研究所におけるオープンアクセス、オープンサイエンスに向けた取り組みを紹介する。
第6分科会:これからの図書館員~人、コミュニケーションをキーワードとして~
図書館に期待される「人をつなぐ」役割
   ~科学コミュニケーションの視点から~ 【p69-73】
志水 正敏(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
 日本科学未来館では、研究者や産業界といった様々なステークホルダーと連携して、来館者にサービスを提供しています。相手のニーズをとらえ、「パートナー」として接することで、新たな価値を生み出しています。
第6分科会:これからの図書館員~人、コミュニケーションをキーワードとして~
信用される職員から、信頼されるパートナーへ
   ~コミュニケーションこそライブラリアンの真骨頂!~ 【p74-78】
井上 昌彦(関西学院大学図書館)
 「これからの図書館員」に必要とされるものは、それぞれが置かれている環境によって異なる。
各自で考えるヒントとして、「信用」を超え「信頼」を得ようと取り組んできた筆者の事例を紹介する。図書館員は、利用者や他館の図書館員とコミュニケーションを取りつつニーズに応え、日々成長することが望まれる。