専門図書館307号(2022年1月)特集:「ICTを活用する図書館」(詳細)

特集「ICTを活用する図書館」【p1】
ICT機器の導入は図書館の将来を開くのか【p2-7】
原田 隆史(同志社大学)
近年、図書館へのICT機器は急速に進んでいる。ICT機器の導入は図書館業務の省力化やサービス向上など、さまざまな効果をもたらす可能性を秘めている。しかし、一方でどのような観点から図書館に役立つのかという検討が十分に行われないケースや、導入の費用対効果をきちんと説明できない場合は図書館に対する評価を下げてしまう結果をもたらす可能性もある。ICT機器の導入では、各図書館の目的に対応した新たなサービス展開を生み出せるかが重要な鍵と言えよう。
『図書館におけるICT活用によるサービスの多様化』
~人と人をつなぐ、人と本をつなぐULiUS(Uchida Library Ubiquitous System)をインフラとして活用~【p8-14】
坂東 紀典(株式会社内田洋行)
図書館におけるサービスのインフラとして、RFIDの活用が進んでいる。持出防止、蔵書点検の効率化、セルフでの貸出・返却処理の他、RFIDの特性を活かした運用とさらなる展開について記した。管理と効率化だけでなく、さりげない操作をきっかけとする利用者サービス視点での導入が期待される。
公共図書館におけるICT機器の導入事例
図書館業務をサポートするICタグと人工知能(AI)【p15-19】
中林 良太(船橋市西図書館)
船橋市において導入済みであるICタグ関連機器について紹介するとともに、現在船橋市西図書館で実証実験が行われている人口知能(AI)を使った蔵書点検や、AI蔵書点検の今後の展望について紹介する。
共立女子大学図書館(KWU Library Commons)におけるICT活用の取組み【p20-25】
田中 俊介(共立女子大学・共立女子短期大学教育学術推進課課長)
本学新図書館では 3 つのコンセプトを掲げ、図書館機能の変化に対応してきた。そのうちの一つがICTの活用である。システムはシンプルな設計とし、導入・運用コストを抑えている。資料の管理にはRFIDシステムを採用することで、図書館版IoTを実現し、図書館リソースを最大限に活かせる仕組みの構築した。また、利用促進策としてスマホアプリを開発し、様々な機能による利便性向上と来館への誘導ツールとなっている。
静岡県立中央図書館Webサービス拡充事業の事業報告及びその課題
図書館DX実証実験を中心に【p26-31】
杉本 啓輔(静岡県立中央図書館企画振興課)
静岡県立中央図書館では、2021年9月以降、図書館DX実証実験と称し、Webサービス拡充を進めてきた。静岡県立中央図書館は、この実証実験以前にも、今でいうDX事業を、財政当局に提案、実施してきた。コロナ禍において、DX化の波が一気呵成に押し寄せる中、先行事例調査や予算獲得を経て、「ふじのくにデジタルトランスフォーメーション推進事業」の一部として、図書館DX実証実験を実施した。本稿ではその事業報告及び今後の課題について記述した。
Web VRフレームワーク「A-Frame」を使用した「VR図書館ツアー」の紹介【p32-35】
三村 のぞみ(島根大学企画部図書情報課情報サービスグループ)
島根大学附属図書館本館は、オープンソースのWeb VRフレームワーク「A-Frame」を使用してバーチャルツアーコンテンツ「VR図書館ツアー」を作成した。本稿では、作成の経緯、「VR図書館ツアー」の機能、コンテンツの運用について述べる。
J次世代学術検索サービスCiNii Research【p36-39】
大波 純一(国立情報学研究所)
公益財団法人九州経済調査協会 BIZCOLI(福岡市中央区)【p40-45】
平田 エマ(公益財団法人九州経済調査協会)
虎ノ門への移転【p46-47】
平松智子(公益財団法人矯正協会矯正図書館)
大宅壮一文庫解体新書
雑誌図書館の全貌とその研究活用【p48-49】
植村 八潮(専修大学文学部)
『情報倫理入門:
ICT社会におけるウェルビーイングの探求』 【p49-50】
田中絵麻(明治大学国際日本学部)
各種セミナー報告【p51-53】
事務局
編集後記【p54】
事務局