専門図書館311号(2022年12月)特集:雑誌と図書館(詳細)

特集 雑誌と図書館【p1】
雑誌研究と図書館―歴史研究の立場から―【p2-7】
長尾 宗典(城西国際大学)
雑誌を用いた研究のために図書館が果たす役割について、歴史研究者の立場から論じた。雑誌は多種多様な形態があるが、明治以来、情報伝達のメディアとして重要な地位を占めてきた。しかし、図書館での収集は、必ずしも順調ではなかった。帝国図書館の収集率も決して高くなかったため、現在国立国会図書館デジタルコレクションで読むことが出来る雑誌が全てなのではない。このため、収集方針と専門分野にあわせつつ図書館が雑誌の収集を積極的に進めていくことは、研究基盤の確保の上でも、また新たなアイデア発見のためにも重要な意義を持つ。デジタル化が進み各館でアーカイブ化した情報がジャパンサーチなどのプラットフォームを通じて共有されていけば、さらなる研究の発展が見込めるかもしれない。いずれにせよ雑誌研究の進展は、図書館での収蔵が充実しているか否かにかかっている。
国立国会図書館における雑誌の収集、整理、利活用【p8-14】
帖佐廉史(国立国会図書館利用者サービス部人文課)
国立国会図書館(NDL)は、納本制度による豊富な蔵書を基礎とした業務、サービスを展開し、また収集した資料を永く後世まで伝える役割を担っている。近年では、資料のデジタル化、デジタルデータの利用提供にも力を入れている。雑誌についても、このような特徴が色濃く反映されている。以上のことを踏まえつつ、本稿ではNDLにおける雑誌の収集、整理、利活用について概観する。
東京マガジンバンクにおける雑誌サービス
~東京都立多摩図書館の取組~【p15-20】
中村 美和子(東京都立多摩図書館 新聞雑誌担当)
杉山 晴香(東京都立多摩図書館 情報サービス担当)
東京都立多摩図書館について、多摩三館の時代から、開館を経て、東京マガジンバンクの雑誌サービス開始に至るまでの経緯と、雑誌の収集、レファレンスサービス・展示等での活用、東京マガジンバンクカレッジといった、雑誌サービスの現状を取り上げ記述する。併せて、現在も収集を続けている「創刊号コレクション」を紹介する。
雑誌の図書館 大宅壮一文庫
その所蔵資料と利用法の紹介【p21-25】
鴨志田 浩(公益財団法人大宅壮一文庫 事務局)
大宅壮一文庫は1971年5 月より財団法人として活動を始め、昨年創立50周年を迎えた。雑誌を専門に収集する図書館として創立の経緯や所蔵資料の特色、雑誌記事を探すための独特の索引システムなどその利用法を紹介する。
旧大橋図書館から引継がれた雑誌
博文館発行雑誌を中心に【p26-31】
新屋 朝貴(公益財団法人三康文化研究所附属三康図書館)
三康図書館は、博文館の人々が設立と運営に関わった旧大橋図書館(1902年開館、1953年閉館)の蔵書を引継いでいることから明治・大正・昭和にかけて発行された雑誌を多く所蔵している。雑誌収集の歴史的経緯、利用実態と保存対策、利用頻度の高い雑誌、そしてこれから多くの方に利用していただくための取組みについても紹介する。
明治大学
2つのマンガ専門図書館の雑誌資料活用を中心に【p32-38】
三崎 絵美(明治大学 米沢嘉博記念図書館)
明治大学の2つのマンガ図書館である、米沢嘉博記念図書館と現代マンガ図書館は、成り立ちの違いからそれぞれ特徴的なマンガ雑誌を多数所蔵している。本稿では、当館所蔵のマンガ雑誌が館内外でどのように活用されているかについてその具体例と、マンガ雑誌の収集、保存について紹介する。
看護図書館マニュアル【p39-41】
今田 敬子(日本看護図書館協会30周年記念事業実行委員長)
凸版印刷株式会社 印刷博物館 ライブラリー【p42-46】
阿部 麻里(凸版印刷株式会社 印刷博物館)
本と雑誌が主役です【p47-48】
早野 有紀子(株式会社新潮社 資料室)
図説 江戸のカルチャー教養書・実用書の世界【p49-50】
速水 香織(信州大学人文学部准教授)
図説 本の歴史 新装版 【p50-51】
新藤 透(國學院大學文学部日本文学科教授)