特集:「日本文化を感じる」にあたり【p1】 |
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日本文化資料を解放する
―“日本”専門図書館の責務とは―【p2-7】
江上 敏哲(国際日本文化研究センター) |
国際日本文化研究センターは海外の日本研究を支援する機関であり、その図書館は日本に関する資料・情報を提供する。海外の日本研究で求められる資料・情報はさまざまである。日本の地域資料は世界と共有されることで、ユニークな価値を持つと同時に、他に転嫁できない責任を持つ。デジタルアーカイブのポータルには、オープンなアクセスだけでなく、さらなる解放のために国際的な連携・流通が求められる。OCLC WorldCat等による日本資料の書誌流通も期待されるが、ローマ字化や資料自体のオンライン提供には課題が残る。また日本の資料は海外の機関にも多く所在しており、共有・活用が進められている。図書館の本質はアウトリーチであり、日本の資料がそれを求める海外のユーザに届くよう、海外関係者と連携・協力することが、日本を専門とする日本の図書館・司書の責務である。
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静岡県富士山世界遺産センター図書室
「富士山ライブラリー」の概要と取り組み紹介【p8-11】 大高 康正(静岡県富士山世界遺産センター学芸課)
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富士山は2013年 6 月にユネスコ世界文化遺産に登録されました。静岡県富士山世界遺産センターは2017年12月23日に富士宮市内に開館した世界遺産「富士山」に関する情報発信と富士山に関わる学術調査機能を併せ持つ施設です。センター開館とともに併設された富士山ライブラリーでは、富士山に関わる貴重な文献を後世へ継承することを目的に、専門書から一般書まで幅広く収集対象としています。本稿では、この富士山ライブラリーの概要と取り組みについてご紹介いたします。
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「温泉」文化を身近に感じる図書館【p12-16】
井上 史子(草津町立温泉図書館) |
日本三大名泉のうちのひとつ、群馬県草津温泉。自然湧出量日本一を誇り、江戸時代から温泉番付でも東の大関(現在の横綱)として名を連ねてきた。湯治場として栄え続けてきた町である。町の交通機関の中心である草津温泉バスターミナル 3 階に、草津町立温泉図書館がある。令和 7(2025) 年 4 月 1 日にバスターミナル内にエレベーターを新設する工事が終わり、リニューアルオープンしたばかりである。草津温泉と図書館の歴史・概要を簡単に紐解きながら、「温泉文化」を感じることができる当館の資料や取り組みを紹介する。
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茶の湯と日本文化
― 今日庵文庫の蔵書と茶の湯史料集について ―【p17-22】
德丸 貴尋(今日庵文庫 主任司書) |
本稿では、今日庵文庫の沿革をはじめ事業内容や代表的な蔵書の紹介とともに、日本文化における茶の湯の位置づけを論じる。また、茶の湯研究の基礎資料となる史料集について、近代の研究者による史料調査の様子、さらにその成果をもとに史料集が各出版社から刊行された史実を考察する。茶の湯研究における今日庵文庫の存在意義とは、蔵書の蓄積と公開により研究者のみならず一般の方々にも広く利用に供することにあると論述する。
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食の専門図書館で日本の食文化をたどる【p23-30】
林 聡香(公益財団法人 味の素食の文化センター 食の文化ライブラリー)
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公益財団法人味の素食の文化センターが運営する食の文化ライブラリーでは、日本の食文化を深く学ぶための図書や錦絵などを豊富に所蔵している。図書は自由に閲覧できるほか、錦絵などは併設する食文化展示室や公式サイト上で見ることができる。本稿では、江戸時代の外食文化や明治以降の西洋料理の導入などの日本の食文化史を追いながら、関連図書や展示などのライブラリーの取り組みを紹介している。また、2025年 2 月にリニューアルオープンしたライブラリーについて紹介する。
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「マンガ資料の収集・保管・公開」とはどういうことか?【p31-36】 大谷 景子(京都国際マンガミュージアム 学芸室)
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「マンガ資料」とは何か?「収集・保管・公開」はどのようにするのか? 2006年に開館した京都国際マンガミュージアムはまもなく開館20周年を迎えるわけだが、今でも、あるいは、今だからこそ、この問いに日々直面している。本稿では、マンガ資料の収集・保管・公開に関する業務、特にこれまでの蓄積により広がりをみせる関連資料やそれに伴う業務の広がりを意識して、資料管理担当者の立場で述べ、様々な方法で活用しているマンガ資料の可能性を紹介する。
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地域の公立図書館での希少蔵書の共同保存の取組み
――「多摩デポ」が多摩の図書館と行ってきたこと【p37-42】 堀 渡(NPO法人共同保存図書館・多摩 理事・事務局長)
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都市型水族館「AOAO SAPPORO」【p43-45】 櫻井 万里子(北海道博物館図書室)
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新聞の編集支援のための図書館【p46-47】 五十嵐 英美(毎日新聞社知的財産ビジネス本部データ管理センター)
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書物の世界に生きる 安江明夫著作集【p48】 鈴木 宏宗(国立国会図書館)
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デジタル時代のコレクション論【p49】 堀井 洋(合同会社AMANE)
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