専門図書館325号(2026年3月)特集:「図書館の危機管理」にあたり(詳細)

特集:「図書館の危機管理」にあたり 【p1】
専門図書館におけるリスクマネジメント【p2-10】
千 錫烈(関東学院大学)
専門図書館の継続性を阻害する要因を「リスク」と定義し 、「自然災害」「情報セキュリティ」「問題行動」の3 分野に分類・整理する。リスクマネジメント理論を応用し、地震対策についてはリスクアセスメントの手法を用いた「保有・削減・移転・排除」の4 戦略に基づく具体的な対応策を提示する。さらに、施設の老朽化や水害に加え、感染症流行時の事業継続計画(BCP)策定についても言及する 。問題行動については、特に近年深刻化するカスタマーハラスメントを取り上げ、利用規則の緩和によるリスクの「削減」が、職員の安全確保とサービスの持続可能性を両立させる有効な方策の1 つであると結論付けた。
令和6年能登半島地震での石川県内図書館の被災状況と
その支援について【p11-15】
空 良寛(石川県立図書利用推進課館)
令和6年能登半島地震における県内図書館の被災状況と、石川県立図書館を中心とした支援の取組を報告する。免震構造を有する県立図書館は被害が軽微で早期再開を果たし、その特性を生かして被災市町立図書館への人的・物的支援、ボランティア調整、情報発信を行った。特に輪島市立図書館の仮設図書館開設支援や、避難所への出張図書館、震災関連資料の収集・発信は、復旧・復興期における図書館の役割を示す事例である。今後の大規模災害に備え、県立図書館が果たすべき中核的役割について考察する。
図書館の水害への対策などを考える
 過去の被害から何を学び備えとするか【p16-23】
加藤 孔敬(名取市図書館)
災害は、出来れば経験したくない。しかし、世界のマグニチュード6 以上の地震の約2 割が日本で発生。人口の4 割が浸水想定区域内に暮らしている。過去10年間に約97%の市町村で水害・土砂災害が発生しているという。図書館も被災の過去があり、決して他人事ではなく自分事として捉えておく必要がある。今回、本テーマに沿って、現場で取り組みが可能と思われる点に注目して、備えの一助になることを願い、筆者がこれまで現地調査などで知り得た事例、おすすめの文献や資料などをブックトーク感覚で紹介していきたい。
図書館におけるウェブサイトを含めた図書館システムの
 安全な運用管理とその対策方法【p24-30】
米田 渉(成田市役所、日本図書館協会認定司書2052号(2022.4~2032.3))
図書館におけるサイバーセキュリティへ対策について、図書館システムとウェブサイトの調達と運営において図書館現場で実施したい事項についてまとめた後、今日のサイバー攻撃の傾向を概観する。同時にインシデント発生時の国内法令上対応が求められることを確認し、そこから平時に準備しておきたいこと、必要なインシデント発生時のシミュレーション、そして、組織体制の構築と図書館での人材育成について整理し、図書館におけるサイバーセキュリティ対策の位置づけを確認する。
公開型図書館における人的危機管理【p31-37】
佐藤 正惠(千葉県済生会習志野病院図書室)
本稿は一般公開されている専門図書館や公立図書館等の公共図書館において、利用者および図書館スタッフのトラブル等の人的危機管理に関する話題を提供する。人的トラブルに関する法令として2026年改正法施行のカスハラ対策やBCP、図書館関連のガイドラインおよび関連分野の先行研究等を概説する。以下のキーワードを基に、利用者とスタッフ間およびスタッフ間でのトラブルをどう防ぐか考察する。「犯罪機会論と犯罪原因論」「心理的安全性」「CSとSC」「フェイクニュース」「バックファイア効果」等。さらに医療における安全管理の考え方やスタッフの教育訓練を、専門図書館としての病院患者図書室司書の立場から紹介する。
図書館とともに広げる防災啓発
 ―冊子『防災・減災のススメ』の原点と展開―【p38-43】
佐藤 謙司、四戸 恒一(応用地質株式会社)
当社は、防災・減災に取り組む企業活動の一環として、2013年より防災啓発資料『防災・減災のススメ』を毎年改訂し、発刊を続けてきた。当初は当社のステークホルダーへの提供にとどまっていたが、防災専門図書館のご厚意により、全国の図書館等への寄贈が可能となった。これは、当社が長年培ってきた防災啓発資料を、より多くの読者に届けたいという思いが実現したものである。本稿では、冊子の発刊経緯と図書館への寄贈の取り組みを紹介し、図書館等での活用状況について報告する。
むすびめの会の活動と多文化サービス【p44-47】
阿部 治子(豊島区立千早図書館)/糸井 昌信(群馬県大泉国際交流協会)/伊奈垣 圭映(梁 佳惠)(東大阪市立北宮小学校)/迫田 けい子(元東京都立図書館)
キハラ・プリザベーション・ラボ見学会【p48-50】
井上 満智(専門図書館協議会 事務局)
アジア経済研究所図書館での5 年を振り返る【p51-52】
村田 遼平(日本貿易振興機構アジア経済研究所)
ドキュメンテーションスタディーズ入門
記録される知の理論のために【p53-54】
高久 雅生(筑波大学)
デジタルアーカイブ入門
つかう・つくる・支える【p54-55】
南雲 修司(東京学芸大学)