専門図書館特別号2024(詳細)

ごあいさつ【 p.1 】
専門図書館協議会理事長 小林 治彦
事業総括【 p.2-3 】
専門図書館協議会 研修委員会委員長(公益財団法人三康文化研究所附属三康図書館)新屋 朝貴
全国研究集会
~社会は変わる、専門図書館はどうする?開催案内【 p.4 】
2024年度全国研究集会の概要【 p.5-7 】
2024年度全国研究集会拡大会議メンバーの声【 p.8-9 】
基調講演1
専門図書館は未来をどう切り拓くのか【 p.10-14 】
豊田 恭子(東京農業大学 学術情報課程)
専門図書館員たちは、混沌とした時代に最先端の情報を収集し、それらを整理し広く提供することによって、次の時代の先鞭をつけ、社会発展や産業振興の礎を築いてきた歴史をもつ。彼らが編み出した分類法や目録といったツールは、より広範な人々へのサービスを受け持つ公共図書館に受け継がれ、その後の繁栄に寄与した。現在、専門図書館は非常に厳しい環境におかれているが、その果たすべき役割は廃れていない。専門図書館の価値をまずは図書館界に、そして市民に、いずれは社会全体に認知してもらい、評価を獲得するために、積極的なアドボカシー活動が必要になる。そのためにストーリーを伝えること、場を重視すること、専門を楽しむことを提唱したい。
基調講演2
専門図書館向けの戦略的ファンドレイジング入門 【 p.15-21 】
鎌倉 幸子(かまくらさちこ株式会社 代表取締役)
ファンドレイジングはファンド(資金)レイジング(調達)を合わせた言葉だが、同時に「ファン」レイジング(ファンを増やす)を生み出すことまでできると成功と言える。認定ファンドレイザーである講師が、ファンドレイジングの定義、人は何をモティベーションにして支援をするのか、専門図書館がお金とファンを同時に集める方法、そしてさまざまなファンドレイジングの手法を紹介する。
トークセッション 専門図書館の「未来」と「お金」【 p.22-25 】
豊田 恭子/鎌倉 幸子/新屋 朝貴
トークセッションでは基調講演を務めた豊田恭子氏と鎌倉幸子氏のおふたりに「専門図書館の「未来」と「お金」」と題し、お互いの講演をどのように受け止めたのかといった話から、講演では伝えきれなかったことまで縦横無尽に語っていただいた。専門図書館の専門性や長期にわたる事業の性格をふまえ、その価値をストーリーに落とし込み、相手が感じている価値に合わせながら訴えるといったことは、これからの専門図書館の未来を切り拓くうえで大きな手がかりとなる。
第1分科会
生成AIと著作権の現在地点【 p.26-33 】
福井 健策(弁護士/骨董通り法律事務所代表パートナー)
初めに、AIがどのようにしてコンテンツを生成するかの基本と、情報社会における膨大な作品やデータに関わる各種の権利について説明する。次にAIと著作権の関わりについて、AI学習はどこまで自由か、AI生成物は著作権侵害か、AIコンテンツは著作物か、の3つの側面から、欧米の状況や文化庁での議論、著作権法における解釈等を踏まえて現時点の考え方を解説する。最後に、これからAIと社会との共存を図るためには、ルール(法律)だけではなく、技術、契約を組み合わせた三位一体の取り組みが始まっていることを紹介する。
第2分科会
専門図書館のアクセシビリティ
~「合理的な配慮」の義務化を受けて~【 p.34-41 】
野口 武悟(専修大学文学部)
2024年 4 月に施行された改正「障害者差別解消法」によって、障害者への「合理的な配慮」の提供が民間事業者にも義務となった。専門図書館においては、どのような対応を進めればよいのだろうか。本稿では、近年の法整備等の動向を概観したうえで、専門図書館における「合理的な配慮」とそれを的確に提供するための「環境の整備」(事前的改善措置)の主だった内容を解説する。
第3分科会
電子情報の長期保存を行うにあたって
―参考となる標準、ガイドライン、文書等について【 p.42-50 】
松永 しのぶ(国立国会図書館関西館電子図書館課)
コンピューターやインターネットの普及によって、図書館において電子情報が利用されるようになって久しい。電子情報は内容量に対して媒体のサイズがコンパクトであり、検索ができるといったメリットがある一方で、長期的に利用できるようにしていくには、紙媒体とは異なるアプローチが必要な資料群である。電子情報を長期的に保存し、利用できるようにしていく電子情報の長期保存(Digital Preservation)という活動は継続的で、共同して行うことが一つのである活動であるが、この活動を行っていくにあたり、参考となる標準やガイドライン、文書等について述べる。
全国研究集会参加者からのアンケート(抜粋)【 p.50-51 】
 
2024年度通常総会の概要【 p.52-56 】
 
編集後記【 p.57】